396 / 459

第十六章・6

「あ、あぁ、あぁあ……」  しっかりと埋め込まれたルドーニが、体の奥で脈打つ。  しばらくそうして抱き合った後、ルドーニが動き始めた。 「んあッ! あッ、あッ、あぁッ!」  律動とともに吐かれる自分の声が、静かなバラ園に響く。  冷たい夜風が、熱をもつ。  擦れた芝の青い匂い。  甘い甘いバラの香り。  注がれるような星々の光。  その中で、愛し合った。  遙かな時の流れの中に身をゆだね、刹那の出会いを歓び合った。  あぁ、気が遠くなる。  バラに囲まれ、星に抱かれ、震えるような悦びが身を襲う。 「あぁあ! あぁ、んあッ! あぁああ!」  ルドーニの熱を体内に受け止めながら見たものは、一斉に流れる星の群れ。  渦巻くバラの花びら。  それらがまるでルドーニと共に体の中へ入ってくるような、異様な感覚。 「あ……」  そのまま、ヴァフィラは意識を手放した。

ともだちにシェアしよう!