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第十六章・9

 妙に乱暴な言葉遣いもおかしい。  ヴァフィラは、まじまじとルドーニの顔を眺めた。  ルドーニは相変わらずルドーニのはず……、だ……、が……。  違う!  これは、ルドーニではない! 「誰だ、貴様は!」 「誰だ、って、え? え? アプロス? ……じゃねえ! あんた、誰だ!?」 「私はヴァフィラ。カラドの魔闘士・ヴァフィラだ! 断わりもなく私のバラ園に入ってくるとは、不埒な奴め!」 「ちょ、ちょっと待て! 俺の腕の中でさっきまで、あんあん言ってたアプロスはどこに行きやがった!? てか、ヴァフィラって先代・毒の大魔闘士? 200年くらい前の?」  降るような星空は、むせかえるバラの香りは変わらないのに、とんでもない事が起きた予感を、ヴァフィラは覚えていた。

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