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第十六章・12
ヴァフィラ、それはないだろう。
お前と付き合うようになってから、女の子と遊ぶのはやめた俺だぜ!?
妓館にはこっそり、ちょくちょく行ってたけど。
いや……、怒りに震えるこの顔は……。
「ヴァフィラじゃない!」
そっくりだが、違う!
「誰だ、お前は!?」
「誰だ、って……ああッ、アドリアノじゃない! そっちこそ、誰!?」
「俺は、闇の魔闘士・ルドーニ。さぁ、名乗ったぜ。そういうあんたは誰なんだ?」
「僕は……、毒の魔闘士・アプロス。ねぇ、アドリアノはどこ?」
毒の、って。
一体どういうことなんだ。
毒の大魔闘士は、ヴァフィラだろう!?
降るような星空は、むせかえるバラの香りは変わらないのに、とんでもない事が起きた予感を、ルドーニは覚えていた。
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