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第十六章・16

「少し飲んだら? 気分が落ち着く」 「ありがとう」  ホットワインにたっぷり蜂蜜を混ぜた温かな飲み物は、アプロスの混乱した頭をなだめていった。  自分は冷やでグラスを傾けながら、ルドーニは自分に言い聞かせるようにアプロスの説明を復唱した。 「つまり、君……アプロスは今から200年以上も後の世界の毒の魔闘士で、バラ園で、あ~、その時代の闇の魔闘士と、えぇ……ホニャララしているうちに、いつのまにか入れ替わっていた、と」 「そうみたい。アドリアノが中出しした途端に意識がなくなったから、たぶんその時に」 「中出し、って……」  あっけらかんとしたアプロスの言葉に赤面しながらも、ルドーニは心をざわめかせた。  その時、腕の中にいたのはヴァフィラじゃなくって、このアプロスだったってことになる。  ということは、まさか俺が内に出したのはアプロスで、ヴァフィラの内に出したのは未来のアドリアノってぇことに!?

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