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第十六章・17
「……許せねえ」
「え?」
「あ、いや、こっちの話」
取り繕うようにグラスを傾けるルドーニを、アプロスはまじまじと眺めた。
見れば見るほどそっくりだ。
これはきっと、アドリアノのご先祖様に違いない。
しかも、毒の魔闘士と付き合っているのだ。
まったくもって奇妙な因縁だ。
ルドーニが杯を干すのを見計らって、アプロスは声をかけた。
「ね。お風呂、入ってもいいかな?」
「あ、ごめん。気づかねえで。いい、と思うぜ」
勝手に浴室を他人に使わせたと解かると、ヴァフィラは怒るかな、とも考えたが、そこは同じ毒の魔闘士同士ということで許してくれるだろう。
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