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第十六章・20

「え? 一緒に寝ないの?」  風呂上りのアプロスは、さっさと長椅子に横になっているルドーニに問いかけた。 「いや、やっぱりソレはまずいでしょ」  僕は気にしないんだけど、とアプロスは濡れた髪を指に絡ませくるくる回している。 「明日、眼が覚めたら元に戻ってるかも。そしたら、隣にヴァフィラが寝てたら嬉しいんじゃあないかな?」 「そりゃ、そうだけど……」 「こんなことになっちゃって、何だか怖いよ。お願い、一緒に寝て」  なんとも巧い甘え方をしてくるもんだと、ルドーニは舌を巻いた。  仕方なくアプロスの隣に横になり、安らかな寝息が聞こえてきた頃を見計らってそっとベッドから抜け出した。  長椅子に改めて横になり、先程まで腕の中にいたアプロスの香りを反芻する。  いい香りだった。  ヴァフィラと同じ香りがした。  アプロスの言うとおり、明日目が覚めたら元に戻っていますようにと祈りながら瞼を閉じた。

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