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第十六章・23

「冥界に行って時間をさかのぼる?」  そ、と食後のエスプレッソを飲みながら、アドリアノは奇しくもルドーニと同じ提案をしていた。 「ならば、私も行こう」 「行ってどうすんの。元に戻れる、ってぇわけじゃあないんだぜ?」  とりあえずルドーニと会って、状況の確認と今後の方策を話し合うだけだ、とアドリアノはヴァフィラの申し出を却下した。  その言葉に、むぅ、と顔を曇らせるヴァフィラ。  悔しいが正論だ。  しかしこの男は、ルドーニと同じ顔をしていながらどうしてこう、物言いに優しさがないのか。  同じことを言うにしても、ルドーニならもっと柔らかく話してくるのだが。

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