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第十六章・32
顔を合わせた途端、殴りかかってきたアドリアノをルドーニは思い出していた。
俺同様、自分の時代の毒の魔闘士を深く愛しているのだ、あの男は。
そして、そんな彼から再びアプロスを奪うことに懺悔を感じた。
しかし、自分だってヴァフィラの事を愛しているのだ。
彼を取り戻すためなら、どんなことだってしよう。
「あの、ね。アプロス」
そっと、頬に手を寄せた。
びくん、と少し震えた後、アプロスは顔を上げて瞼を閉じた。
気づいているのか、とルドーニは驚いた。
元に戻るには、もう一度この場で抱かれねばならないことを。
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