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第十六章・35
「お前はアプロスを愛しているのか?」
「何、突然」
だってそうだろう、とヴァフィラは少々責めるような口調でアドリアノに言ってきた。
「アプロスという者がありながら、私の寝室に忍んで誘うような真似を」
あれは冗談なのに、とアドリアノは苦笑した。
清廉なヴァフィラには、そういう冗談は通じないらしい。
「ま、あれも愛を確かめるひとつの方法、っての?」
「歪んだ愛情だな」
「面と向かって、愛してます、なんてこっ恥ずかしくて」
「ルドーニは、ちゃんと私を愛していると言ってくれるが」
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