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第十六章・36
ルドーニ。
ヴァフィラを寝取られたと知って剣呑なことに、殺してやる、ときやがった。
だがそれは、俺も同じこと。
アプロスに手を出すやつは、あの世に送ってやるくらいの気概は持っている。
そして、そのアプロスを引き戻すためなら、地獄へ落ちても構わない。
「ヴァフィラ。あの、な」
「さっきから何だ」
俺と、ここでエッチしない? と言ったとたんに横っ面を張られた。
「悪い冗談はやめろと言っている!」
「残念だけど、冗談じゃねえのよ」
渾身の力をこめて、アドリアノはヴァフィラを地面に押し倒した。
「やめろ! 何をする!」
「ちょっとだけ。ちょっとだけ我慢してくれ! そうすれば、全部元の鞘に収まるから!」
「いやだ! やめろ、やめてくれえぇ!」
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