430 / 459

第十六章・40

 寝室に戻ると、あの時のまま窓が半分開かれていた。  ふわり、とカーテンがなびき、心地よい風を受けながらヴァフィラはルドーニに口づけた。  自らルドーニの唇を割り、舌を絡ませ躍らせる。 「どうしたの? 何だか積極的」  おどけた声で、ルドーニがキスの合間にくすくすと笑う。 「会いたかった。寂しかったのだぞ?」 「俺のそっくりさんがいたのに?」 「そっくりではあるが、あれはお前ではない」  それもそうだ、とルドーニは優しくヴァフィラをベッドに横たえた。  額に、頬に、顎にキスを落とす。  首筋に、肩に、胸に赤い跡を残す。  体中にキスの雨を降らせ、ルドーニはヴァフィラを確かめた。

ともだちにシェアしよう!