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第十七章・2
「これは……、なんと見事な……」
バラのアップルパイ。
薄くスライスしたリンゴを、まるでバラの花のように巻いて作った、見た目も麗しいアップルパイがヴァフィラを出迎えた。
手のひらサイズの可愛らしいものから、ホールサイズの豪華なものまで、バラ、バラ、バラ。
「どうやって作ったんだ?」
そう尋ねると、ルドーニは照れくさそうに笑う。
「いやなに、ひと手間かけただけだって」
ひと手間どころか、二手間も三手間もかけただろう事は、見ればすぐに解かる。
そしてそれは、見た目だけではない事も。
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