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第十七章・3
一口食べると、甘酸っぱいローズペタル・ジャムの風味が口いっぱいに拡がった。
表面のつや出しに、ジャムが薄く塗ってあるのだ。
その美味しさに、思わず顔をほころばせたヴァフィラ。
そこへ、ルドーニから祝福の言葉がかけられた。
「誕生日おめでとう、ヴァフィラ」
「え?」
きょとん、としてしまったヴァフィラに、ルドーニは笑った。
「何だなんだぁ? 本人がすっかり忘れてたのか?」
忘れてはいなかったが。
「忘れてはいなかったが、今日は22日ではなかったか?」
何と、暦の方を間違えていたとは!
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