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第十七章・23

「おはよう、ルドーニ」 「おはよう」  ちゅ、と軽いキスをして、ルドーニは情けない声を吐いた。 「ゴメンな~。朝は俺が作ろうと思ってたのに」  いいんだ、と、それには笑顔のヴァフィラだった。 「いつもルドーニが朝食を作ってくれるだろう? たまには私が腕を振るうよ」  そうと決まれば、身なりを整えてきてくれ、とルドーニはキッチンから追い出されてしまった。 「誕生日の翌日だってのに」  髭を当たりながら、ルドーニはぼやいた。  我ながら寝坊なんて、うっかりしたもんだ。  昨夜は確かにちょっと濃厚だったけど、クタクタになるほどまでは頑張っていなかったはずだが……?  そんな事を考えて顔を洗い、髪を整え、服を着替えた。  全て終わった頃には、肉を焼く良い香りが漂ってきており、皿を並べる音まで聞こえてきた。

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