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第4話(陽太の章)

「他の被害者と会えるかも」  委員長から告げられたのは、1年の被害者を訪問した3日後の朝だった。  知り合いの知り合いが、半年前に被害にあったらしい。 「超マジメなやつだったのに、事件後は淫乱……えっと、いや、そう、タガが外れたように遊びまくっているらしい」  委員長が仕入れた情報を簡潔に報告する。 「それ、お前の後輩と一緒かな? 夢精しないように発散してるのかな?」  今度の被害者も同じように苦しんでいるのなら、夢精の件は事件の影響と考えて間違いないだろう。 「うーん、なんかちょっと嗜好が変化したらしくて」 「思考? そりゃ、あんな事件に巻き込まれたら考え方も変わるよな。価値観も変わるだろうし」 「いや、そっちの思考じゃなくて……ま、それはいいか」  委員長と共に、その被害者の少年が根城にしているというクラブに向かった。  目的の場所は、ひっそりとした外観からは想像できない程、広く騒々しい。  ちょうどイベント開催日だったらしく、しかも金曜の夜ということもあって、びっくりするような数の若者で溢れかえっていた。  このままでは、埒が明かないということで、手に入れた画像を頼りに二手に分かれて探すことにする。 「ここ、はじめて? 君、かっこいいね。あっちで、お話しない?」  耳元で囁かれたのは、委員長と別れてすぐだった。  女の子に逆ナンされることはあっても、男に誘われるのは初めて。  ドギマギとして声の主を凝視する。  どこかで見た顔だ。それもそのはず、偶然にも探していた人物だった。  腕を引かれるまま、後についていく。  少年は慣れた足取りで、バックヤードを進むと小部屋に陽太を押し込んだ。  驚いて固まる陽太をソファーに押し倒し、唇を押し付け無防備な口腔を弄る。  不覚にも、その舌の動きにボーっとして抵抗を忘れる。体の中心に血液が集まり熱く滾る。 「なっ、ちょっとっっ!」  少年は、我に返り慌てる陽太のベルトをすばやく引き抜いて前をくつろげると、反応して硬くなり始めたペニスを躊躇いもなく口に含んだ。 「うわぁぁっ、ちょっと待ってっ!」  陰嚢を強弱をつけた絶妙な力加減で揉み解しながら、生暖かい舌をいきり立った裏筋に這わす。  そのネットリとした快感の前に、拒否する言葉の勢いは次第に衰え、陽太はいつしか悦楽の波にのまれてしまっていた。  気が付いたときには、少年は陽太の上に跨り嬌声をあげていた。  陽太の理性はあっけなく吹っ飛び、本能のままに夢中で腰を動かして最奥まで穿つと、少年と同時に果てた。  それは、今まで経験したことがない凄まじい絶頂感だった。少年は失神していた。  陽太も身動きすることができず、繋がったまま荒い息で脱力していると、すごい勢いでドアが開けられた。   そこには、30代前半と思われる鍛え抜かれた体を持つ、長身の見知らぬ男が立っていた。   「お前、何してるんだ! 早く、逃げろっ」  男は部屋に走り込むと、陽太を抱えるように立たせ、窓から放り出した。  同時に、後ろから手で口を塞がれる。まるで抱きしめられるような格好になり動揺しつつも、陽太はずり下がっているパンツとズボンを引き上げ衣服を整えた。  そうこうしているうちに先ほどの部屋に委員長が飛び込んできた。  背中に触れている男の体が緊張で強張るのがわかる。 「お前、魔法使いだったのかっ! いや、お前じゃないっ! 魔力はお前の中に吐き出されたものだ。今、交わっていたヤツは誰だ?」  委員長は大声で叫びながら、意識を失いぐったりしている少年の体を乱暴に揺さぶっている。  いつもの温厚な委員長らしからぬ様子に驚いて戻ろうとするのを、男に阻まれた。  陽太は男に促されるまま、委員長に気付かれないよう細心の注意をはらい建物から離れた。  

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