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-陽太の章- その11
委員長に呼び出されたのは、学校の教室だった。
コトリと靴の音がなる。
「陵?」
違うんだろうなと思いながらも声を掛ける。
予想通り、そこにいたのは陵ではなかった。
「陽太、ちゃんと一人で来たんだ。罠だと思わなかったの?」
「罠かなって、思ってたよ。それでも、陵に会いたかったから」
委員長は、口の端をあげて、バカにしたように笑った。
「俺さ、陽太の事、ずっといいなって思ってたんだよね。セックスしたらどんな感じかなとか想像してた」
物陰から、4、5人の男が飛び出し、体を床に押さえつけられた。
抵抗する間もなく後ろに回された手首に手錠を掛けられる。
「俺をどうするつもりだよ?」
委員長をギリギリと睨み付ける。聞かなくても予想はつく。
魔法使いが妖魔に捕まった場合、されることはただ一つ。
「まさか、陽太が魔法使いだったなんて、ちっとも気付かなかった。こんなことなら、もっと早くにやってしまっとけばよかった」
背後から差し入れられた手に、ペニスをぎゅっと掴まれる。痛みに、陽太は顔を顰めた。
不意に誠の言葉がよみがえる。
――俺の恋人は、あいつらに捕まって、来る日も来る日も、凌辱され続けた。やっと、監禁場所がわかって、たどり着いたときには間に合わなかった――
「ちゃんと天国をみせてやるよ。とりあえず、邪魔が入ったら嫌だし場所を変えるから」
男たちは陽太の体を抱えて立ち上がらせると、車に乗せて走り去った。
車で随分長い時間走った後、連れてこられたのは廃工場のようなところだった。
随分と荒れ果てて、かろうじて窓ガラスはあるもののコンクリートはむき出しで、至る所が崩れている。
そんな中、フロアの真ん中に置いてある真新しいキングサイズのベッドが異彩を放っていた。
「陵は? 陵に会わせてくれ。 あいつは魔王なんだろ? お前たちの仲間だろ?」
「魔王様の居場所は誰もわからない。横山が魔王様だなんて昨日まで知らなかった」
魔王を知らないなんてありえるんだろうか?
妖魔は魔王によって生み出されて、妖魔の生命エネルギーの妖力を魔王にもらうはず。
陽太の疑問に答えるように、委員長は続けた。
「先代の魔王様の時から仕えていた上級妖魔のみが現魔王様に直接会うことを許されている。俺たちは上級妖魔を介して妖力を得ている」
委員長は陽太をベッドに押し倒し、Tシャツの裾を捲り上げた。あらわになった乳首に口づける。
「陽太が魔法使いで良かった。思う存分、陽太の体を味わえる」
委員長がその小さな突起を執拗に舌で攻めたてていると、別の男が陽太の膝を割り開き下着とズボンを引き抜いた。
膝を抱えられ、窄まりに潤滑剤をまとった男の指が乱暴に差し込まれる。
「い、痛い。抜けよ。やめろっ!」
泣き顔をみせたくないのに勝手に涙が溢れる。陽太の必死の懇願を無視し、指が2本に増やされた。
圧迫感と痛みが膨れ上がる。誠にされた時のような気持ちよさは微塵もなく、ただただ苦痛だった。
「うわっ、すっかり、萎えちゃった。これじゃ、入れられないじゃん」
委員長は残念そうにつぶやくと、陽太のペニスを咥え、手と舌で扱き始めた。
「そろそろ薬の効果が出てくる頃だし、大丈夫だろ」
男の言葉の通り、陽太の意思とは関係なしに、萎えていたそれは硬く立ち上がり始めた。
委員長の与える刺激に気を取られているうちに、窄まりの指はさらに増やされた。
痛くて不快感だけのはずのそこに掻痒感が生じ快楽の兆しが見え隠れする。
「柔らかくなってきた。こっちは準備できた。挿入するぞ」
「やめろ、やめてくれっ」
準備なんて出来ていない。永久に出来るはずがない。
これは現実なんだろうか? まだ夢の中じゃないんだろうか?
開ききっていない窄まりが男のペニスで無理矢理、こじ開けられる。
「や、やめろっっ」
思わず、陽太は悲鳴をあげたが、男は全く躊躇することなく、ずんと強引に中に進んだ。
「お、キツイ。初物にしてはいい具合。たまらん。うわっ、すぐに出そう」
同時に、委員長が陽太の上に跨り、その体の中に陽太のペニスをおさめる。
委員長が陽太の上で腰を揺らすと、キツくて狭い穴の中は、奥へ奥へと煽動を開始し陽太を深い所へ誘導する。
「あっ……こっちも大きくなってきた。いいっ……あっ、奥まで届くっ、うっ…っ……気持ちいいっ」
委員長が陶酔したように嬌声をあげ、より一層、腰をくねらせる。
ぴちゃぴちゃという水音とパンパンと肉のぶつかる音が響く。
陽太は奥歯を噛みしめ、必死に声を殺した。
こんな状態で気持ちよくなんかなりたくない。
意思を裏切り、熱く興奮し、悦楽に沈む体に、悔し涙が止まらない。
「俺らは見てるだけか? 二人だけでお楽しみズルいな。上の口でしゃぶらせようかな」
「今、しゃぶらせるのは無理だろ。噛みちぎられるぞ」
「そうか、じゃあ、後で、歯を抜くか。そうしたら3人同時にできるな」
「4Pか、それはいいな」
男たちの下卑た笑いが、あたりに響く。
そうこうしているうちに、委員長と男の腰の動きが激しくなり、二人は同時に果てた。
陽太も知らないうちに射精したようだったが、薬の効果か、陽太のペニスはまだ硬く立ち上がったままだった。
男たちは交代をしながら、陽太は休む間を与えられず昼夜、凌辱され続けた。
意識を失っても凌辱され続け、もう、何日経ったかわからなかった。
陽太は、朦朧とする意識の中で、既視感を覚えていた。
――前にも、こんなことがあった。あれは……
男に凌辱される女性。子供の泣き叫ぶ声。
――すべてを忘れて、魔法使いの力を封印して普通の子供として暮らしなさい――
あれはママだ。泣き叫んでるのは幼き自分。
そうだ、ママは最後の力を振り絞って俺に魔法をかけて消滅した……。
その魔法のお蔭で、全てを忘れて、妖魔も魔法使いも関係のない世界で生きることができた。
――陵、お前が隣の家に住んでいたのは偶然なのか? ずっと昔から俺のことを監視していたのか?
陽太は、心の中で、陵に問いかけ続けた。
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