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白き灰がちになりてわろし 2

 ハルボンがハルボンと呼ばれるようになった経緯に嘘はない。  ただ、言うなとあれほど念を押してくるくらい、内緒にしておきたくて話していない部分があるだけだ。  男子校の寮っていう秘密の花園……って言っていいのかわからないけど、閉ざされたその中で起こった出来事。  これがあるあるのことなのかは、俺にはわからない。  けどまあ、十代の性欲なめんなよっていうのが原因の一つなのは、あるよねって思う。  ちょっと間違った方向にお盛んな先輩たちが、新入生の中から目をつけた何人かを呼び出した『夜中の交流会』。  不運なことにカミヒとハルボンと俺は、ご指名されてしまった。  あの時、俺はもう何があってもしょうがないかなって絶望的な気分になっていた。  カミヒも多分、色んなことを想像して覚悟していたと思う。  先輩たちの中で『姫』扱いされている先輩がハルボンに手を伸ばした時、それまで静かにしていた彼は、抵抗した。 「嫌です! すいません! できません! おれ、心に決めた人がいるので! 全部その人にささげるって決めてるんで!」    ハルボンはそう叫んで、まず宙を舞ったのは枕。  それから準備されていた色んなもんを投げまくって、敷布団をぶん回した。  毒気を抜かれるって、ホントああいう感じなんだろうなって思う。  そりゃあ舐められたって感じた先輩もいたみたいだけどさ、全力の抵抗には、敵わなかった。  なんせ中心にいた『姫』とか影響力のある人たちが、笑い崩れちゃったのだ。 「全部ささげるって、どこの坊ちゃまだお前~」 「心に決めた人に情けないトコ見られたくないとか、思わねえの? 今なら経験させてやるよ?」 「あの人は年上なので、当然色々と経験済みなので、おれが初体験でも恥ずかしくないです。それより、あの人に誠実でいたいです!」 「だから、どこのボンだお前?!」  押さえつけられて服も引っ張られて破れて、半裸で、髪もぐしゃぐしゃで、でもものすごく必死で貞操を守る姿に、なんていうか笑っちゃったんだけど感動した。  しばらくの間、先輩たちはハルボンをあの手この手で誘っていたみたいだ。  脱童貞はどうだ脱処女ならどうだ、それがだめなら口でしてやる手はどうだって。  それでも断り続け逃げ続け、校舎の廊下で土下座までして、ついに先輩たちの誘いを交わしきり、先輩たちからつけられたあだ名が『ハルボン』。  はるあき坊ちゃん、略してハルボン。  因みに先輩たち、一緒に呼び出されていた俺たちのことは、有耶無耶のうちに忘れてたらしい。  その一件以来、カミヒはハルボンに夢中。    第一印象から変わらず、胡散臭い奴だなあと思いつつ、俺もあれからハルボンには一目置いてる。  

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