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同居人の誕生日は今日だけど、俺は何も用意してない(9)

しかも、話の流れからすると、盛山はかなり積極的な発言をしていたことになる。「ディープキスしよう?」と遠回しに誘っていたも同然だ。細川も少しは期待してくれたのかもしれない。実際は食い意地が張っていただけなのだが。 嬉しさと申し訳なさと恥ずかしさが混ざって、どんな顔をすればいいのか分からなかった。 「俺が無意識に誘ったみたいになってたんだな、恥ずかしいわ」 「そうだよ。オレは完全にその気だったんだぞ。……経緯はともかく、オレは良い思いさせてもらったし、口の中もスッキリして一石二鳥だけど、お前は不本意だったか?」 「……いや、とっても良かったし、欲を言うならもう少し続けたかった」 「そりゃあ何よりだ。折角お互い好きで付き合ってるんだし、オレだってお前と色々したいって思ってたんだよ」 お前とやってみたいこと、まだ沢山あるから。細川に耳元でそう囁かれて、盛山の胸にときめきと安心感が同時に生まれる。細川は盛山と同じことを考えてくれていて、これからも盛山を求めてくれると暗に示してくれたのだから、嬉しいという言葉だけでは足りない。 「俺も、細川と恋人らしいことしたいってずっと思ってた」 「うん」 「でも、具体的に何からしていくべきなのか全然分からなくてさ。今日、お前と相談しようと思ってたんだ」 「そうだったのか」 細川が頭をわしゃわしゃと撫でてくれる。そうされると、自然に力が抜けていって甘えたくなった。細川に頭を撫でられるのが心底好きな自分に気付く。

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