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同居人の誕生日は今日だけど、俺は何も用意してない(14)

酔う感覚が好き、って話も聞くけどな。そう呟いた賢太郎はどんどん口数が少なくなっていって、十分後には健に凭れ掛っていた。水を勧めると、今は大丈夫と手で制される。手を繋がれて、片手で抱きしめられた。繋がった手と吹きかけられる吐息がやけに熱い。気分が悪いとか、完全に脱力してしまったという訳ではなさそうなので、それは何よりなのだが。 「賢太郎、大丈夫か? 眠い?」 「んー……眠くないけど少しふわふわする」 「眠いなら歯磨けよー」 「眠くない。気分も悪くないから大丈夫だ。もう少し起きてたい」 賢太郎は健の首筋に頬を寄せる。手もしっかりと握り直される。賢太郎は甘えたいのだろうし、恋人として悪い気はしない。頭を撫でてやると、賢太郎は浮ついた声で笑った。 「賢太郎、あったかいな」 「ああ。特に頬の辺りと胸の周辺かな。手も熱いし」 「良い湯たんぽになりそう」 「……じゃあ、今日は一緒の布団で寝てくれるか?」 賢太郎は少し体を離して、健と目を合わせた。賢太郎の真剣な瞳を見て、酔った勢いというよりは酒の力を借りているようだ、と思う。どちらも同じことなのかもしれないけれど。 同居を始めたばかりの頃は一緒に寝ていたのだから、このお願いを断る理由はない。ただ、あの頃と違うのは、二人が付き合っているということだ。だから、一緒に寝るということにも、あの頃とは違う相応の意味が発生しうる。布団に包まって抱きしめ合うだけではなくて、お互いの弱いところを暴いてつつくような、そういう意味が。

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