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同居人の誕生日は今日だけど、俺は何も用意してない(15)
今すぐ何かが起こるわけではないだろう。準備がかなり必要とも言うし。けれど、いずれ相手と『そういうこと』をしたいんだという意思表示と相互確認は、やっておくに越したことはない。
賢太郎はその意思表示のつもりで言っているのだろう、と健は受け取った。
「それって、今日だけで良いのか?」
「そんなわけないだろ。夏は暑いから無理にとは言わないけど、できれば毎日が良い」
「分かってるよ。……じゃあ、今日から一緒に寝よ?」
「うん。……あともう一個、したいことがあるんだ。今すぐじゃなくて良いんだけど」
「え、何? 遠慮しなくていいから言いなよ」
駄目なときは断るから、と健は付け加えた。拒否されると傷付くだろ、と赤い顔の賢太郎が投げやりに言う。そういうことを言われると、余計に断りにくくなるというのに。……もっと直接的な話に移るのだろうか。健は心の準備をする。
「お前と一緒に風呂に入りたいんだよ」
賢太郎は真っ赤な顔で、絞り出すように答えた。案外可愛らしい答えだったので、健は拍子抜けした。とはいえ、下心が見え見えのお願いではあるのだけれど、その点も含めていじらしい。
その気持ちに応えてあげたいのはやまやまなのだが、自宅の風呂のスペースを考えると、簡単に叶えてあげられる願いではない。洗い場も浴槽も一人で使うのがやっとの広さなのに、二人で入るなんて身動きが取れなくなってしまう。
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