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◎恋人のことを深く知りたい(7)

「健、どうした?」 「もうちょっと優しくできないのかよ」 「ああ、遠慮なさ過ぎたな。ごめん。触り心地が良かったから」 「……太ってるって言いたいのか?」 むくれた顔の健が可愛くて、笑みが零れる。健はそれを見て、怒りながら賢太郎の肩をびたびたと叩いてきた。もう少し健をからかってやりたい気持ちが芽を出す。 「ほら、腹は出てないだろ!」 健が賢太郎の手を掴んで、自らの腹に当てる。確かにスリムとは言えないけれど、標準的な腹囲をしている。 淡いオレンジ色の照明と黒いタイルのせいか、健の姿は扇情的だった。触れさせられた腹は思ったよりすべすべしていて、前日にシェーバーで剃ったのかもしれない、と思いを馳せる。水滴が跡を付けながら、次から次へと下に流れていって、その行く先から目が離せない。 健に悪気は無かったのだろう。けれど、賢太郎は完全に火をつけられた。 「……そうだな。じゃ、ここも?」 賢太郎は健の胸に手を伸ばす。先程の過ちを繰り返さないよう、指先でゆっくり優しく全体に触れた。最低限の脂肪しか付いていないように見えるし、押し込んでもへこんだりしない。だが、手のひら全体で包み込むと、意外と柔らかくて揉む余地もある。 「あ、ちょっとっ」 「確かに、余分な脂肪は付いてないな」 以前健に触れた時、胸にも反応を示していたことを思い出す。胸の先が固くなっていたので繰り返し触れると、健は善がりながら賢太郎の腕を掴んで止めようとした。力が全く入っていなかったので、賢太郎は構わずに健の胸を弄り続ける。降り注ぐ温かい水滴は、行為の妨げにもならない。 「ん、あっ……やめ、て……ああっ」 「気持ちよさそうだけど?」 「やっ……変、になりそ……んん」 健は目を閉じて息を荒げている。立ち上がりかけている彼の中心に触れると、熱を持っていて硬くなり始めていた。上下に擦ると、いつもより高い健の声が浴室に響く。

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