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◎恋人のことを深く知りたい(8)

身を反らしながら快楽に追い詰められている健を見つめていると、賢太郎の頭の中に際限なく欲が浮かび上がってきた。 例えば、このまま耳を攻めたら、健はどうなるだろう。自分以外の誰も見たことがないような健の姿を、更に知ることが出来るだろうか。 想像するだけで、賢太郎の体の中心に血液が集まってきた。頭から血が足りなくなって、明晰でない思考がますます欲に染め上げられる。心臓の拍動が強く速くなって、息が荒くなっていった。 耳に顔を寄せると、健は最後の抵抗のつもりなのか、硬さを増した賢太郎の一部を両手で包んだ。喘ぎながら、力が入らないまま、必死に手を動かしている。そんな健の姿が、いじらしくて愛おしい。健から与えられる刺激全てが、賢太郎の本能を呼び起こしている。 「健、可愛い……好きだよ」 賢太郎はそれだけ告げると、健の耳に舌を差し込む。健はもう、意味を持つ言葉を発せなくなっていた。健の喘ぎ声が脳に響いて、それだけで果ててしまいそうだ。 本当は、もっと触りたかった場所がある。先程揉みしだいた、双丘の奥の秘所。けれど、快楽に溺れている健を恐怖に引き戻すことはしたくない。今は恋人のあられもない姿を存分に味わおう、と本能に侵食された理性が判断を下した。 「んあっ……けんたろう」 健が、回らない舌で必死に名前を呼ぶ。賢太郎は少しばかり、現実に戻った気分になった。 「健?」 「なまえ、もっと呼んで」 恋人に熱に浮かされた瞳で懇願されて、断ることができるわけがない。出来るだけ応えたいと思う。賢太郎は耳から口を離し、恋人の額にキスした。欲に塗れた思考の中にも、お互いを想う気持ちは確実に存在している。 「健、健」 「あ、ああっ……んん」 「……健」 手の中に握った健の一部が、脈打って限界を迎える。健が一際甘い声を上げて、賢太郎の手に精を吐き出すのを眺めながら、賢太郎も健の手の中で果てた。

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