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◎オレは恋人と先へ進みたい(6)
賢太郎は、健が持ってきた使いかけのローションを手に取った。健は四つん這いで渋々尻を突き出していたが、心細そうな唸り声を上げている。
「見えないからさ、不安だよ」
「難しいかもしれないけど、オレのことを信用してくれ。……今から触る、力抜いて」
ローション塗れの指で健の秘所に触れ、撫でさする。ずっと望んでいた場所に触れられて、賢太郎は大きな達成感を覚えていた。一方の健は身体が震えている。ローションが付いていない方の手で頭を撫でると、健は大きく息を吐いた。
「まだ入れないから、安心しな。もう少し触らせてくれ」
「うん……」
「どんな感じだ?」
「なんか、ぞわぞわというか、もぞもぞする」
慣れさせて恐怖を軽減するため、くるくると周辺をなで続ける。健の震えは止まったが、暫くすると時折身体を跳ねさせて声を上げるようになった。その声が浴室での淫らな姿を思い出させたので、思いがけず期待が高まる。
「健、今の気持ちいい?」
「そう、かも」
「そりゃあ何より。指、入れてみて良いか?」
「うう……分かった。お願いします」
中指を突き立てて、探るようにゆっくり埋め込んでいく。内部はぬるぬるとして暖かく、指に粘膜が絡みついてくる。
指を動かす度に、健の息遣いが変わっていった。嬌声と揺れる腰は、健が賢太郎の指で感じていることを示している。それを目の当たりにして、心が満たされていった。
「一人でやってるときも、こんなに感じてたのか?」
「ちが、あっ……気持ちよかったら、あんな怖がらないし……! こんなことなら、もっと早く、賢太郎に頼れば良かった」
「そうか? 今気持ちいいのは、健がこれまで一人で頑張ってきたからだと思う。本当にオレの指が初めてだったら、こうはいかないだろ」
「んんっ……そう、なのかな。ありがと」
指を抜き差ししたり軽く曲げて確かめたところ、奥の方は幾らか余裕があるようだ。浅いところが一番解さなければならない箇所なのだろう。円を描くように、ゆっくりと広げていく。一際大きな溜息が聞こえた。
「大丈夫か?」
「う、うん。痛くはないけど、広げなきゃって思うと少し苦しい」
「難しいな。広げたいけど、健が気持ちよくなってるところも見たい」
「無茶言わないでよ」
広がり具合を確認しながら、もう一本指を足す。するりと入っていったが、健が小さく悲鳴を上げたので、賢太郎は指を引っこ抜いて動きを止めた。
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