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◎オレは恋人と先へ進みたい(7)
「ごめん、痛かったか?」
「あ、いや……。二本入ったんだよね? もう一回、お願い。ごめん」
一本ずつ指を入れていくと、吸い付くように中が蠢いた。健がふふっと笑う。
「意外と痛くなくて吃驚した。自分でやってるとき、二本は入らなかったから。賢太郎のこと、受け入れられるかな?」
「……残念だけど、もう一本入るようになってもらわないと無理だ」
「そ、そっか。ごめん、悪気はないからな」
健の期待を裏切るようで申し訳ないが、賢太郎のものはどう考えても指二本の太さではない。
もう一本増やすべく、先程と同じように拡張していくが、健は呼吸を整えるのに必死で、快感を拾える状態には無いようだった。
「辛かったら言ってくれ。指減らすから」
「大丈夫。そこまで痛いわけじゃないから、続けて」
健の言葉を信じて、三本目の指を入れた。二本のときより窮屈さを感じる。健の呼吸は荒くなっていく一方で、呻き声まで出している。苦しそうな恋人を見て、賢太郎も胸が痛くなっていった。この状態では、賢太郎を受け入れるまで保たない。
もう、十分頑張ったのではないだろうか。
指が一本しか入らないところから、ここまでよく耐えてくれた。
ここまでやったんだから、次にやるときには絶対に上手くいく。
賢太郎は指を引き抜いた。健が身体を震わせて振り向く。顔に疲れが出ていた。
「健、もう良いよ。これ以上はしんどいだろ。次は絶対出来る、今日はここまでにしておこう」
「嫌だ。もう一回、指入れて。……賢太郎の、入れて。大丈夫だから」
健が瞳を潤ませて睨んでくる。到底大丈夫には見えない。仮にこのまま突き進めたとしても、途中で何か起きた場合、賢太郎の方が止まってやれないかもしれない。
二人とも見つめ合って動かなかったが、健が我慢できずに、後ろ手で腕を掴んでくる。
「賢太郎、お願い。頑張るから」
「……分かった。もう止めない」
ローションを更に足して、指を三本埋め込んだ。ぐちゅ、と水音がする。健は情け無い悲鳴を上げたが、何とか持ちこたえた。
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