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◎オレは恋人と先へ進みたい(9)

絡みついてくる内部に意識を持っていかれそうになりながら、健の表情を伺う。賢太郎の顔を熱っぽく見つめて息を上げながらも、あまり感じている様子がない。初めて人を受け入れたのだから、そこまで求めるのは酷だということは分かっている。けれど、自分の昂ぶりとの温度差をどうしても感じてしまう。 「ごめんな、健。気持ち良くないんだろ」 「……正直な話、そうかも。でも、それで良かったと思ってるよ」 「なんで」 「賢太郎の顔、きちんと見れるから。俺の中で気持ちよくなってくれてる顔とか、我慢して必死で耐えてる顔とか。全部、色気があってカッコいいよ」 健の言葉が、心の中で水面の波紋のように広がっていく。照れ臭そうな顔が、気遣わしげな目線が愛おしい。下腹部の快感と愛情が混ざって、多幸感を形成した。 脈打ちながら大きくなっていた自身の一部が、健の中で精を吐き出した。健もそれを感じ取ったのか、満足した表情で笑いかけてくる。受け止めきれないほど大きな幸福を分け与えるように、健を力強く抱きしめた。 「健、好きだ」 「うん」 「次やるときは、お前のことも気持ちよ くするからな」 「楽しみにしてる。大好きだよ、賢太郎」 健の両手が賢太郎の頭を撫で回す。安心と疲労に襲われ、二人揃って意識を手放した。

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