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第13話 妖精ちゃんと髪留め

私は早朝からおかしかった。 『セドリック、あんたアルフレッドに甘えてばっかいるんじゃないわよ!!アルフレッドはあんたの保護者じゃないんだから、しっかり男らしくなさい。ほら、教会の掃除するっ』 「折角アルと二人きりの教会掃除に、なんで妖精なんかがいるんだよ……」 『男が小さいこと気にすんじゃないわよ。口を動かす前に行動!!』 ……夢に出てきた妖精とセドが共存していた。 とうとう私は狂ってしまったらしい。 私は教会のステンドグラスを磨きながら、頭を抱えた。 『アルフレッドは昨日あんたに襲われて具合が悪いのよ。こんないたいけな神父を襲って、全く最近の人間の男って見境がないのね』 「俺は誰でも襲う訳じゃない。アルが好きだから、アルだから俺は襲うんだ」 『当たり前よっ!!アルフレッドを襲っておいて、相手が誰でもいいなんてこと言わせないんだから』 そんな妖精は私の具合を心配してくれたのか、ステンドグラス磨きを変わってくれた。 ここまでしてくれるんだから、私は彼女を受け入れようと思った。 彼女のことは妖精ちゃんと呼ぼう。 『アルフレッドは具合が悪いんだから、まだ寝てなさい。あたしはアルフレッドの使い魔なんだから、アルフレッドが命令すれば代われるの!!……神父は町のために働く聖職者、倒れられたらいざってとき頼れないと困るのよ』 妖精ちゃんは朝からこんな調子だった。 セドも何故妖精ちゃんに使われてるのか、理解できなかったらしかったが従っていた。 けれど彼女がいたからこそ、私とセドのギクシャクした雰囲気が緩和されていた。 「アル。俺は今日からまた町に行ってやり残したことを整理してから、また村に戻ってきます」 昨日話していたことを終わらせて来るつもりなのだろう。 私は頷いて、目を伏せた。 「自分がしなくてはならないこと、終わらせてきなさい」 「アルがいるこの村に、なんのしがらみもなくこの村にいるために、全て終わらせてきます。……そしたら俺をまた受け入れてください」 朝食を終えると、彼は教会を去った。 『アルフレッドがセドリックを構う気持ち、なんとなく分かったかも。セドリックって結構いいヤツね』 妖精ちゃんはセドが村から町に去ったあと、そう呟いた。 妖精ちゃんに彼は自分のしていた細いリボンタイを残していった。 妖精ちゃんは、そのリボンタイを二つに分けて髪留めにしていた。

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