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第15話 一ヶ月後
セドが町に行ってから、一ヶ月が経とうとしていたある日のことだった。
『なんなのよっ……!!こんなことをってあり得るわけ?!』
「まぁまぁ、妖精ちゃん」
村の学校に支援活動をしていたときのことだ。
その学校の理事長の息子のミカエルに、私はペッティングをされかけた。
ペッティングとは、まぁ要するにセックスの前戯だ。
要するに私は襲われかけたわけである。
それを理事長に見付かって助かったわけなのだが……。
『なによー!!『最近の聖職者は若い者をたぶらかすのか。慈善事業ならぬ慈善授業をこの学校で教えるつもりですか』よ。ふざけんなぁー!!』
妖精ちゃんは怒っているが、彼女は今のところ私とセドにしか見えてないので、宥めなくても然程問題にはならない。
「妖精ちゃんが私のために怒ってくれるのは有難いことだけと。学校からの支援がなくなってしまったら、教会が貧しくなるからね」
この村の学校と教会は互いに支援しあっていたので、関係が崩れてしまったら一大事だ。
私が我慢さえすれば、この場を凌げることだ。
『何がミカエルよ!!大天使様と同じ名前なのが、ムカつくわ……』
ミカエルは学校でモテる部類の少年らしく、以前教会の相談でよく聞いていた。
ミカエルは確かに美少年でもあり美青年でもある、魅力的な存在だろう。
『あたしはプレイボーイは好きじゃないのよ!!恋愛は、……一途であるべきなの』
最近気が付いたことなのだが、妖精ちゃんは好んで恋愛小説を読んでいた。
きっと彼女なりに思うことがあるのだろう。
『セドリックが早く帰ってくれば済む問題よ。アイツはストーカー並にアルフォードに一途だから……』
「妖精ちゃん、同性愛は宗教的に禁忌だろう」
『禁忌だからこそ、萌えることもあるわっ!!……神様に隠れて忍び育む愛、セドリック見てて結構いいなぁなんて私は思ってわけ』
神父の使い魔らしからぬ発言や思考はどうかとは思ったが、人の好みはそれぞれだ。
彼女の好みのことはそっとしておこう。
「妖精ちゃん、先に教会に戻って手紙の仕分けをしてくれないか。この後私は薬草畑の水やりをして帰るから」
『はーい。……ったく、早く村に帰って来ないかしら、セドリックの奴』
妖精ちゃんはセドリックからもらった髪留めのリボンに触れながら消えた。
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