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第16話 移したい畑
教会の薬草畑は建物から少し離れたところにある。
雑木林に囲まれた畑には水路が引いてあるが、少し不便なので移動しておきたい場所には変わりなかった。
「もう少し便利な場所にあるといいのに」
「そうですか?」
薬草の手入れをしている最中に何気なく呟いた言葉に返事がして、後ろに振り向いた。
すると私の後ろに、先程会ったミカエルが私に覆い被さってきた。
そしてそのまま私を組み敷き、乱闘になってしまった。
「ミカエル?!っ止めてくれないか」
「大人しくして。神父の聖服って背徳感があって、一度犯してみたかったんだよね」
私より一回り大きいミカエルは、学生なのに力が強かった。
「大人しくしないと畑の薬草のダメージが大きくなるし、人がきたら神父としての信頼もななくなります」
「……っ」
卑怯過ぎる脅迫に屈するつもりはなかったが、薬草が駄目になると薬も作れなくなる。
私は行動での抵抗は諦めた。
「神父様、ずっと見てました。その美しい顔が快感で歪み憂いを帯びる表情になったら、私の天使の名前が堕ちるでしょうか」
ミカエルの手が私の服を乱していく。
「綺麗な神父様が、僕の身体で汚れるなんて。……堪らなくなる」
「私は……、綺麗ではない!!」
私の右肩を見て、ミカエルの手が止まった。
右肩にあるのは、火傷の跡。
私の火傷のケロイドは、醜いだろう。
「綺麗なものには欠点がある。こんな欠点、神父様の美しさの前だと……逆に煽られます」
ミカエルは私の火傷の跡に触れてから、胸に吸い付いた。
「……っ、やめなさい」
「止めれるわけがない。綺麗なだけじゃない神父様、とても崇拝したくなります」
彼の手が私のズボンの中に入り、そのズボンを下着ごと下ろした。
「やめてっ……、」
「乳首弄られただけでこんなになるんですか。どれだけ清いんです、神父様っ」
ミカエルの顔が私の股間にいくと、そのままペニスを口に含んだ。
「っはぁ」
とてつもない快感が私の身体に走った。
このミカエルという少年もセドリックと同じように、人を抱くのに慣れているのだと分かった。
そして、ミカエルのほうが男の身体に慣れていることも理解した。
それくらい私の身体を快感が支配していた。
なんて即席的な行為だろう。
なんと堕落した行為だろう。
「あ、あぁ。……だめだっ!!」
私はミカエルの口に射精した。
こんな簡単な快感に呑まれる自分に嫌気がさした。
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