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第20話 早朝の苦笑い
その日の早朝、私は薬草畑に行く途中に約二ヶ月ぶりにセドリックに会った。
「アル!!会いたかったです。……ただいま戻りました」
「おかえりなさい、セドリック」
私の機嫌はそれだけなのに良くなってしまった。
セドは私を乱暴に扱った憎むべき相手なのに、無性に会いたかったみたいだった。
「貴方に会いたかった。町の片付けに二ヶ月も掛かるなんて思っても見ませんでした」
ふと目を手元にやると、セドは衣類を持っていた。
「それは……」
「村の学校に通うことになって、これは制服です」
その学校とは多分ミカエルと同じ学校だろう、服の色合いからしてそう見た。
「俺がアルを守ります」
「……君が何を言っているのか私には分からない、セド」
「妖精ちゃんから聞きました。貴方の元から妖精ちゃんが離れたのは、俺に知らせに来てくれたからなんです」
確か使い魔は主人から離れるとろくな妖力が使えないはず。
もしかしたら疲れ尽きてるかもしれない。
「アルがこの制服嫌いになってるかもしれないって妖精ちゃんから聞いたのでアルの部屋で着替えようと思って持ってきたんです。俺がアルの側で制服を着ていれば、ミカエルも手出ししないかもしれないし」
セドはとても優しい人になっていた。
これはもしかしたら町での片付けのお掛けだろうか。
「ありがとう。私は君の優しさに感謝しています」
私はそう言うと、セドは苦笑いを浮かべた。
「やめてください、アル。……これは下心です」
隠すことなく素直にそう言う彼の面影は五年前の彼と重なって、つい涙が出そうになったのを私は苦笑いで隠した。
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