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第21話 君が使い魔で良かった

畑の雑草を抜き、籠に薬草を摘んでから部屋に戻ると、机の上に朝食が乗っていたが、セドリックの姿は見えなかった。 時計を見たら、学生が学校に通う時間の八時を三十分過ぎていて、再び会うことが出来なかったのを悔いた。 そしてピアノの椅子を見ると妖精ちゃんがうたた寝をしていた。 数日ぶりに見る妖精ちゃんはなんだかとても疲れている表情をしていたので、ベッドに運んで毛布を掛けてあげた。 「……アルフレッド、ごめんね。アタシ何の役にも立てなくて。結局セドリックを急かすことしか出来なかった」 「見て見ぬ振りをすることもできたよね」 そう、それなのに妖精ちゃんなりに必死に行動してくれたんだと思うと、私はなんて幸せ者なんだろうと感じた。 「アタシは見て見ぬふりなんて出来ない。けど何も出来ない」 そんなことはない、妖精ちゃんの優しい気持ちは分かったから、私はもう少し頑張ることが出来るんだ。 「妖精ちゃんが僕の使い魔で良かった」 「……アルフレッドぉ」 「こんなに思ってくれる君が側にいてくれることが、私は何よりも嬉しい。妖精ちゃんおかえりなさい、ゆっくりおやすみ」 妖精ちゃんを寝かしつけてから、私は遅めの朝食を食べた。 私は今とても幸せだった。 今はとても幸せだったのだ。

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