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第29話 いい加減

なんの魅力もないこんな神父を慕ってくれるのは嬉しいけれど、私は人と何かの関係になりたいわけでもない。 要するにこの問題は私がなんとかしなくては解決しないと言うことだった。 学校の帰り、やはり教会にやってきたセドリックはまたしても抱きついてきた。 「いい加減にしてください、セド」 「この手付き丁度良い加減じゃないですか?アルの股関反応しはじめてますし」 「そういう問題ではなくて!!」 確かに男だからそこに触れられたら気持ちいいのは認めよう。 だが私は君とそういう関係になりたいわけじゃない。 「貴方の心は神様に捧げているのは承知なんです。本当なら心も欲しいですが、今は友人としての好意だけで良いって思ってます」 友人の好意だけでいい、それで身体はほしいなんてズルい以外の何物でもない。 「君なんて友人としての好きでもないですっ」 「じゃあ、なんで町の教会で僕に好きだと言ったんですか」 それを言われたら……、なんて答えるべきなのだろう。 「君は私を慕ってくれた。才能のない私のピアノが好きだと言ってくれた特別な人です。……だから」 だからそういう関係にはなれない、そう言おうとしたらガバッとピアノの下に押し倒された。 「その特別に好きで大丈夫です。……好きです、アルフレッド」 そのまま口付けをされた。 今更口付けくらいでは驚かなくなくなった私は、やはりセドリックに甘いのだろう。

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