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第37話 疑問
二人を教会から追い出すと、妖精ちゃんがポンッと音を立てて現れた。
『アルフレッド、あの二人を一緒にしたら駄目よ』
「なぜだい?」
私は何故二人を一緒にしたらいけないかの理由が分からなかった。
『セドリックの事故が故意でおきたなら、側にダニエルがいたことになるわ。もし故意にピアノの蓋が閉まったなら、ダニエルが関わってるんじゃない?』
妖精ちゃんは探偵のごとく腕を組んで考えていた。
確かにセドリックの事故が故意な場合を考えると、この二人を一緒にさせるのは問題だった。
「そうか……。でも今更私が引き止めることはできないよ」
『分かった!!じゃあアタシがセドを見張ってるわ。何かあったらすぐに戻るからアルフレッドは仕事しなさいね』
そう言い残すと、妖精ちゃんはまたポンッと消えた。
……もしセドの事故にダニエル教官が関わっていたら。
教官は才能のある子供を潰したことになる。
一体セドの事故はどこからどこまでが故意なのか。
男爵夫人のことはどうなる?
最初は男爵夫人が故意に事故を引き起こしていたと考えていたが、事故は故意でも男爵夫人に言い寄られたのは偶然なのではないだろうか。
その場合は何故故意の事故が起きたのか……。
「私には推理の才能もないらしい」
神を崇める私だが、こういう才能を持ち合わせて作ってくれなかった神を恨めしく思う。
「……神よ、私は納得が出来ないです」
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