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第2話 メガネも、髪型も、顔も
中学1年の春。
「好きです。付き合ってください」
同じクラスの女の子から告白を受けた。
「ありがとう」
好意を持たれること自体は、嫌ではない。
その思いに対しての“ありがとう”だった。
女の子に対し、ドキドキしたりしなかった。
どちらかと言えば、同性に対して、興味を抱いていた。
……既に、自分の性的対象は同性なのだと、薄々勘づいていた。
その女の子と付き合うつもりはなかった。
他の子にも告白され、同じように答えていた。
最初に告白してきた女の子と付き合っているコトになっていたらしく、浮気だと責められた。
裏では、私の彼氏にちょっかいを出すなと、女の戦いが繰り広げられる。
いつの間にか結託した女の子たちは、俺を最低だとか、ヤリチンだとか罵っていた。
当たり前だが、女の子に手を出したコトはない。
適当に返事をした俺も悪かったが、責められ叩かれた意味がわからない。
彼女たちが好きだったのは俺ではなく、俺の見た目。
“俺の恋人”という一種のステータスが欲しかっただけなのだ。
ここを訪れるときは、ボサボサの髪は空気を含ませ遊ばせ、時代遅れの鼈甲メガネはスクウェア型の銀色のリムフレームのメガネに変える。
この場所では、声を掛けられなければ意味がないから。
大きめの白色の春物ニットから伸びる濃紺のスキニージーンズに包まれる色気を放つ俺の脚。
顔だけじゃない。
身体にだって、自信がある。
俺を抱いた男は、リピートで声を掛けてくるコトだってあるし、1回で終わることの方が少なかった。
もう1回…、せがまれればNOとは言わなかった。
でも、体力がない俺は、最終的に失神しているか、寝落ちする。
目覚めたとき、俺はいつも独りぼっちだった。
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