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第13話 盲目な俺の黒歴史

 高校2年の秋。  性に興味津々な年頃だ。  やっぱり、俺の性的指向は同性だった。  ひょんなことから、好きなヤツとAVを見るコトになった。  そいつのモノを見るチャンス。  俺の心は、踊っていた。 「咥えられるのってそんなに気持ちのいいもんなのか?」  しゃぶられているシーンで、ぼそりと放たれたそいつの声。 「やってみて、やろうか?」  本当は下心だらけなのに、平静を装い冗談交じりに問い掛けた。 「オレは、やんねぇよ?」  嫌そうな顔をするそいつに、俺は別にいいと、咥えてやった。 「ぁ……、やべぇ。すっげぇ気持ちぃ…」  口の中で育っていく感触に、俺の身体も熱くなる。    アナルセックスの動画もあり、試してみたいと言ったのはそいつなのに、いざとなったら、“ケツの穴に入れんのは、やっぱり無理だ”と拒否られた。  そいつに言わせれば、口ん中は男も女も変わらないが、身体が見えてしまうと萎えるらしかった。  何度となく口で奉仕してやった。  俺は、そいつを喜ばせたくて、いろいろなエロ動画で、フェラテクを手に入れた。 「オレ、おかしくなったのかな? お前の唇、見るとムラムラすんだよ」  俺の前で制服のスラックスの前を寛げながら首を捻るそいつ。 「俺のコト、好きんなったんじゃねぇの?」  冗談混じりで、鎌をかけた。  抱けもしないこいつが、俺を好きな訳など有り得ないのに。 「んー。(あなが)ち間違っちゃないんだよ。オレ、好きなんだよ」  そいつの“好き”の言葉に、俺の心臓が、ばくんと大きく1つ鳴る。 「……お前の口ん中」  言い切ったそいつは、ケラケラと可笑しそうに笑い、しゃぶるコトを催促してきた。  ぁあ、こいつが好きなのは、俺の口……、身体なんだ。  こいつの目当ては、俺の身体を使って気持ちよくなるコトなんだと気がついた。  ……それでも、良かった。  そいつが、俺を好きじゃなくても。  俺が、そいつを好きだったから。  そいつとの関係は、高校を卒業すると同時に自然に消滅していた。

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