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第19話 チラ見を叱られる
その場所のルールは、知っていた。
普通にセックスをしようと持ちかけても良かったが、1回シたら、それで終わりのような気がして止めた。
身体だけが、セックスだけが目的だとも思われたくなかった。
この1回きりで終わりだなんて、嫌だった。
こんな綺麗な人と1度きりだなんて、勿体無い。
なんとか繋ぎ止めておけないかと絞り出した妙案が、ヌードモデルだった。
引き受けてさえもらえれば、まだ描ききってないからと頼めば、何度か会ってくれるかもしれない。
会うためには、連絡先の交換が必須条件で、上手くいけば、そのまま顔見知りや友人くらいにはなれるかもしれない。
オレの家でという提案は、危機感がないと却下された。
そのまま近場のホテルに誘われる。
本当にホテルなのか? と、疑いたくなるような佇まいに、らしくない外装に、思わず何度も視線を往復させた。
問い掛けに反応を示さないオレに、痺れを切らせた彼は、手を引き建物の中へと足を踏み入れる。
アナログ感溢れる質素な造りだが、清潔に保たれたその場所に、不快感はなかった。
連れられ歩くだけのオレに、彼は手際よく手続きを進める。
気付いたときには、部屋の中へと入っていた。
彼が払ってしまった宿泊費は、オレが出そうと思っていた。
モデルをしてもうんだからと、金を出そうとしたが、泊まるつもりで来ているから要らないと断られてしまう。
部屋に入った彼は、シャワーを浴びたいとオレの目の前で大胆に服を脱ぎ捨てていく。
服の下から現れた細いがしっかりと筋肉のついた体躯に、見惚 れそうになる。
堪らない……。
蠢く肩甲骨も。
括れた腰も。
キュッと上がった尻も。
綺麗な足のラインも。
じっくりと舐め回すように、視線で犯してしまうように、じっと見詰めたかった。
でも、そんなコトをすれば、押し倒したいという欲求が外に出てしまう。
盗み見るようにチラチラとした視線を送るオレに、いやらしい見方をするなと叱られてしまった。
……なにやってんだよ、オレ。
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