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第21話 衝撃の展開に思考が止まる

 目覚めた彼は、オレの描いた寝顔に、瞳を細めた。  嫌なら描かないと言ったのに。  なんの了承も得ずに、勝手に描いてしまった。  家に連れ込まれるコトも嫌がるし、身バレするようなものは何も持っていない。  そんな用心深い彼は、顔を描かれるのが嫌だろうと思った。  嫌なら顔は描かないと言った手前、それは破り捨てるべきだと思った。  慌てて手を掛けるオレに、彼の顔が近づく。  思った以上の接近に、息が詰まる。  顔を破られる方が嫌だと言った彼は、代替の謝罪を提案した。  しゃぶらせろ、と。  ……え?!  衝撃の発言に、動揺を隠せない。  顔を寄せ、ゆっくりとジッパーを下げる彼は、色香を溢れさせる。  確かに。そういうコトがしたくて、あの場所に居たんだろう。  でも、咥えるだけって。  それで満足できるの……?  あとで、妄想して、慰めるのかと問うたオレの言葉に、彼の揺れていた腰が止まった。  言葉が癪に触ったのか、欲に溺れかけていた潤んだ瞳が、オレを()め上げた。  自分で慰めるくらいなら、オレが抱きたいと思った。  でも、慰めてくれのか? と問うてくる彼の言葉に、声が詰まる。  慰めたいんじゃない。  そうじゃなくて。  抱きたいって、…気持ち良くさせたいって思っていた。  でも、今、手を出したら。  やっぱり1回きりで、ワンチャンで終わるような気がして、言葉を飲んだ。  言葉を発しないオレに、彼は諦めるように、無理をするなと声を放つ。  無理なんかじゃない…、紡ぎたいのに、激しく攻められ、翻弄される。  イマラとか……マジで、失神する(トぶ)かと思った。  暫くぶりの気絶そうな刺激に、我慢など出来なかった。  予想以上の勢いに、溢してしまった彼が謝る。  賢者タイムに突入しているオレは、気が利いた言葉も紡げず、ベッドに沈んだ。  カーゴパンツの汚れを水洗いしたオレ。  拭くという発想が抜け落ちていた。  とりあえず、家まで我慢すればよかったのか。  オレの間抜け顔が可笑しかったのか、ふっと鼻で笑う顔に、胸がキュンとする。  一緒に居られる時間が延びたのだから、オレの失敗も帳消しだ。  ぐっと抱き締めれば、焦ったような声が返ってきた。  柔らかくないから、気持ちよくない…、なんてコトはない。  頭を抱き込めば、暴れることなく、オレの腕の中に収まった。  なんか……、可愛い。  しゃぶっている時の飢えた獣のようなエロさと、腕の中で大人しく睡魔に白旗を上げる可愛さのギャップに、胸のざわめきが抑えられなかった。  もう1回、会いたい……。

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