これでいいのかな、なんて手探り（舌探り？）で舌を動かし続けた。官能的な舌は俺の中をうごめき、俺の舌はそれを追いかける。ずっと夢中でむさぼりあっていたけど、やがて唇は離れた。その後は俺の額や鼻、頬や耳に軽く触れていく。甚平の前をはだけられて、首筋や鎖骨、乳首にも。 「あっ…そこ…」 「ここ、やっぱり感じるの？」 　硬く尖った乳首に、指が触れる。寒くて立った乳首にシャツが触れる、なんていうときの感覚じゃない。ジル先輩の指の腹は、まるで羽根のように軽やかに舞う。それが優しくて気持ちよくて、夢見心地で…。 「んっ…もっと…」 　思わず出てしまったおねだりに、また唇が乳首に吸いついた。吸うだけでなく、舌で転がされ、俺はもう完全に勃起していた。いっしょにお風呂に入って、勃起してるところも見られたし、手で愛撫されて口にも含まれたから、さっきほどの恥ずかしさは無い。 　無いはずなのに、布団の上で寝っ転がり、真上からまともにジル先輩の愛撫を受けている、この体勢が恥ずかしい。 「や…やだ…」 　自分だけが感じてしまっているみたいで余計に恥ずかしく、体をよじってしまう。フッと生暖かい息が、乳首の上をかすめた。乳首が敏感になっている今は、それだけで背中がゾクゾクする。ジル先輩が“プッ”と吹き出したんだ。 「もっと、って言ったのに…嫌なの？　嫌ならやめちゃうよ」 　少し意地悪に、桃色がかった唇が乳首の上でささやく。でも、意地悪なことを言ったって、ジル先輩は優しい。俺の指に自分の指を絡ませ、ギュッと握ってくれる。これから起こることは、怖くないんだよ。そう言ってくれているようで。 　ジル先輩のもう片方の手が、器用に俺を裸にしていく。下着をずらされ、勢いよくサオが飛び出した。白く細い指が絡まる。風呂で出したはずなのに、もうガチガチに硬くなっているそこを、ジル先輩が扱く。 「あ…ああっ、そんなに…早くしたら…」 　出ちゃう、そう言いかけた唇をふさがれた。エロティックに絡まる舌に翻弄されているうちに頭の中がフォンダンショコラみたいにトロンととろけそうになった。 　そのおかげで、後ろの穴にジル先輩の指が侵入してきたときも、さほど抵抗がなかった。指はゆっくり進み、絶対に中をかき回したり激しく抜き差ししたりしない。その優しい指に、俺は全身を委ねていられる。 「…アラタ、つらくない？」 「う…ん…だいじょう…ぶ」 　そのうち指は二本になる。やっぱりきつい。それに、怖い。これよりもっと太いのが入るから。 「どうしようかな…。いきなり挿れると痛いかもしれないし」 　ジル先輩が膝立ちになり、部屋のどこかをじっと見ている。机だ。引き出しにハンドクリームか何か、潤滑剤になるようなものがあるか、思い出しているんだろうか。 　俺はジル先輩の前に四つん這いになり、勃ち上がったモノを口に含んだ。ジル先輩のようにうまくできないかもしれないけど、俺の唾液が潤滑剤になれば。それに、ジル先輩にも気持ちよくなってほしい。 「あ…アラタ？」 　少し驚いているジル先輩のお尻をしっかりとつかみ、顔を前後させて唇で扱いてあげた。時々は舌で先端を舐めたり、初めてだけどジル先輩に気持ちよくなってほしい一心で奉仕した。たまにお尻がキュッと締まる。そのとき口の中でサオがビクンと跳ねる。気持ちいい、って思ってくれているのかな。 「うっ…、アラタ…、はあっ」 　俺の髪を優しく撫で、ジル先輩がせつない声をもらす。ええと、ジル先輩はさっき風呂で、どんな風にしてくれただろうか。そう思い出すと体が熱くなり、先端からしずくがこぼれた。 「気持ちい…、アラタ、気持ちいいよ…やばい」 　いきなり肩をつかまれた。そのまま布団の上に押し倒される。いつもは天使のような微笑で清らかなのに、妖艶な笑みを浮かべて息が荒い。まるで野獣だ。少しワイルドで、胸がキュンと痛い。ジル先輩に、こんな一面があったなんて…。おそらく、元『薔薇会(しょうびかい)』のメンバーだって、薔薇の君のこんな本性は知らない。 「せっかくアラタが濡らしてくれたからね。乾かないうちに挿れたい…」 　両膝を持ち上げられる。二本の指が、小さい穴を広げる。つるんとしたモノが、そこに当たる。濡れた先端だ。それはグイッと小さな穴を広げ、押し入ってくる。だめだ、指の太さの比じゃない、入らない！ 「やっ…！　ジ…ジルせんぱ…、入らない…！」 「力抜いて…、息止めないで」 　柔らかな金髪が、俺の頬をくすぐる。ジル先輩が俺の耳たぶを甘噛みし、耳の中に舌をねじこんだ。同時に、乳首も愛撫される。 「ふにゃっ」 　そんな変な声が出てしまい、全身から力が抜けた。その瞬間を見逃さず、ジル先輩は一気に挿入した。 「アラタ…愛してる」 　そんな言葉を耳元でささやきながら。