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虎牙-19

 指五本分ぐらいはあるんじゃないかって思うほどの太さの物が、少しずつ押し入ってくる。痛さも指のときよりも五倍増しって感じで。 「い…いたっ」 「悪かった、ゆっくりするからな」  そう言って、剣先輩は髪を撫でてくれる。ほら、やっぱり先輩は優しい。  また、ぎゅうっと穴を無理やり広げられるような痛みが。 「だ、駄目…入んな…い」  剣先輩の唇が重なった。舌で口内をとろけさせるみたいな激しいキスに、俺の体から力が抜けていった。その瞬間を見逃さなかった剣先輩は、一気にペニス全体を俺の中に埋めた。好きな人と、一体になった瞬間。もう離れたくない。ずっと剣先輩と、繋がっていたい。俺はたくましい背中にしがみつき、剣先輩の腰の動きに合わせて俺も腰を動かし始めた。 「あっ…ああ…剣…先輩」 「くっ…」  頬を赤らめていた剣先輩が、時折つらそうな表情になる。もしかして、ソファーの座面についている右手首か、動く腰を支える左脚か、どちらかが痛むんだろうか。 「先輩…、ベッド…行きませんか」  俺がそう提案して、ベッドに移動した。 「剣先輩は、あお向けに寝てください」 「いいのか? 無理しなくていいんだぞ」 「はい、大丈夫です。それより、剣先輩の怪我に障る方がよくないから」  俺は剣先輩の上にまたがった。下から見上げられるのは恥ずかしいけど、思い切って俺が上で動く体位を取った。  剣先輩の勃起したペニス、初めて握った。先端がぬめっている。自分の穴に先端を当ててみたけど、なかなか腰を下ろす勇気が出ない。大丈夫、さっきは入ったじゃないか。  ふうっと深呼吸して亀頭を当てたら、手の中の竿がビクンと動いた。剣先輩が、俺に触られて感じてくれているんだと思ったら、また愛おしさがこみ上げてきて、もっと剣先輩に気持ちよくなってもらいたくて、勇気を出して自分から挿入してみた。 「うっ…、くぅっ…」  ゆっくり、腰を動かす。剣先輩の負担にならないよう、そっと。  剣先輩が、両手の指を絡めてきた。体の中も繋がって、手も繋がって。手のひらの温度が熱く、汗ばんでいる。その熱さが俺に火をつけ、苦しいけど腰の動きを加速させた。 「新太…、も…もう、動かなくていい…」  繋いだ手を離された。剣先輩は俺の腰を抱え、ズルッと引き抜いた。お尻の辺りに、生温かいものが飛んできた。それがエロティックで、剣先輩が気持ちよくなってくれた証拠だって、そう思ったら俺の下腹部あたりにズシンと血が溜まる感じがした。  剣先輩が、体を起こす。俺をあお向けに寝かせると、またフェラチオを始めた。 「うっ…あ…、やっ…」  熱い舌が絡みついて、強く吸われて、いやらしく濡れた音もいっぱい出て、一気に射精感が来た。 「あっ…、離して…離してくださ…、で、出るぅっ」  上半身を少し起こして剣先輩の肩を両手で押したけど、剣先輩は離れてくれない。 「あ、だ、駄目っ…ああーっ」  ビュッ、ビュッ、ビュッと三回に分けて剣先輩の口内で発射してしまった…。なかなか口を離してくれず、“ゴクン”と飲み干す音まで聞こえた。 「つ、剣先輩…飲んじゃった…んですか…?」  ああ、と剣先輩は手の甲で口元を拭いながらうなずいた。 「うわあっ」  恥ずかしくて、両腕で顔を隠した。まともに目をあわせづらい。けど、剣先輩は俺の両腕をつかんで外し、真上から見下ろす。 「そんな可愛い顔をして照れるなら、毎回飲んでやってもいいぞ」  その言葉でますます目を合わせられなくて、固く目を閉じた。 「剣先輩…案外、いじわるなんですねっ」 「言っただろ、俺は優しくないって」  額にキスされた。初めて剣先輩の気持ちを知った日、病室でされたキスを思い出した。唇はまぶた、頬、鼻の頭、汗ばむ首筋、とあちこちに移動する。 …剣先輩の嘘つき。こんなに優しいキスをいっぱいしてくれる人が、優しくないわけない。 「だいぶ汗をかいたな。寝る前にシャワーを浴びるか?」 「なんだか…、さっきシャワーを浴びたのに、またお風呂に入ったりしたら…悪い気がしますよ。それに、白鷺さんだって変に思うかも」  お父さんの剣鷹彦監督は、映画の撮影で海外らしいけど、白鷺澪華さんは家にいる。いくら俺と剣先輩との関係に気づいてたって、二回もシャワーを浴びれば何をしていたのかバレてしまう。  剣先輩は、俺の髪を撫でながら言った。 「客間のシャワー室を使えば大丈夫だ。もしお袋がバスルームを使おうとしても、鉢合わせしない」  さすがセレブなお宅、その手があったか。  パジャマを着て剣先輩と二人で、一階の客間のシャワーをこっそり使った。 「ちょっ…剣先輩?」  ボディソープを泡立てた剣先輩が、手で俺の体を洗ってくれた。 「くすぐったいですよ~アハハッ」 “シッ”と言った後、剣先輩は唇で俺の口を塞いだ。 「声が響くとバレるぞ」 「あ…はい」  不意打ちのキスで頭がとろけそうになって、シャワーの熱気もあってぼんやりと返事をした。俺を静かにさせるだけのキスのはずが、剣先輩は何度も唇を重ねてくる。 「あ…せんぱ…、駄目ですよ」  半勃ちになったペニスを手のひらで包まれ、ゆっくりと揉まれた。 「そんな可愛い顔見せられたら、たまらなくなるだろ」  シャワーのしぶきを浴びながら、俺たちはキスを繰り返しながら互いに擦り合っていた。 ――剣虎牙、HAPPY END――

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