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聖&たまねぎケーキ-3

「だ、駄目ですよ、そんなとこ…見えるから…あっ」  明日、生徒会のみなさんやほかの人にバレたらどうしよう、なんて考える余裕はない。  服の下から手が潜りこんできた。手のひらはみぞおち辺りを撫でているけど、意地悪な指先は、乳首を刺激している。 「聖さん…、やだ…あ」  洗面台の縁に必死でしがみつく。手だけじゃなく唇はうなじを這うし、熱い吐息がかかるし…。 「新太…愛してます」  なんて低いトーンでささやかれるし。  俺はもう、洗面台にしがみついて唇を噛んで、声を殺すしかできない。 「…鏡というものは、非常に便利ですね」 「えっ?」  聖さんの方に振り向いたけど、顎をつかんで戻される。鏡の中の俺と目が合った。 「後ろから抱きしめていても、新太が感じている顔を見ることができますからね」  俺…さっきから、どんな顔をしてた?! 鏡の中の俺は、真っ赤になっている。 「ひゃっ」  服の中では、聖さんの指に乳首をつままれる。  ヤバい、下半身が完全に反応している。 「そんな顔は、私の前だけにしてくださいね」  涼しい顔でそんなことを言われて少し悔しいけど、俺はもう聖さんの言いなりだ。 「絶対…聖さんに…しか…見せませ…ん」  鏡には、コック服で何やらもぞもぞ蠢いている姿が映っている。なぜか全裸よりもいやらしい感じがしてしまう。お店が終わってから、人目をしのんでエッチしてるウェイターとパティシエ、みたいな。  そのうちスラックスを膝下までずり下ろされてしまった。聖さんがコック服の裾を上げた。先端がパンツの腰部分からはみ出して、恥ずかしい…。そんな俺の姿を、聖さんはじっと見ている。 “恥ずかしいから見ないで”  俺の理性は、そう叫ぶ。 “聖さんが喜ぶなら、もっと恥ずかしい格好にされたい”  俺の本能は、そう望む。 「可愛いですね…私の新太は」  ゴム部分からはみ出した先端を、指先で撫でられた。 「あぁっ…」  熱をもった指先は、先端だけでなく下着の中に入りこんで、サオを撫で始めた。 「こんなにビクビク震わせて…待ち切れませんか?」  俺は言葉が出ず、何度もうなずいた。  夏休みが終わり、前期のテストも済んでから、何度聖さんに抱かれただろうか。  聖さんは、俺が卒業するまでは清い関係でいたかったらしいけど、夏休みに初エッチした。九月になり、前期のテストが終わった日、聖さんに呼ばれて部屋に行った。個室だから、声さえ抑えていれば気兼ねしなくていい。ただ、消灯時間前に点呼があるから、部屋に泊まるのは無理だ。 …週に二回ぐらいはあるかな…。  そうしているうちに俺の体はもう、聖さんに馴染んでいる。 「んっ…はぁ」  聖さんの指が侵入してきた。何度目かのエッチでようやく慣れてきたそこは、聖さんの指を簡単に飲みこんだ。俺はたまらなくなって、腰を動かす。 「新太…」  もう片方の手で、俺の手がつかまれた。聖さんの中心へと導かれた。布越しでも、聖さんの温度や硬さがよくわかる。  後ろ向きのまま人差し指、中指、薬指の三本で付け根の辺りから撫で上げた。手のひらのくぼみにすっぽり収まるのは、先部分端だ。少し力を入れると、サオが少し動いた。聖さんも俺と同じ。俺の愛撫で感じてくれている。 「窮屈なので、脱がせてくれますか?」  ドキン、と心臓が跳ねた。いつもは聖さんに脱がされて、聖さんは自分で脱ぐ。そういえば、俺が聖さんを脱がせたことはない。  初めてなのでドキドキする。初めて、聖さんに抱かれたときぐらい。緊張しながら、うつむきながら手探りでベルトのバックルに手をかけて緩め、ボタンを外す。ジッパーを下ろす。後ろ向きでよかった。正面からだと、恥ずかしくて正視できない。けど、見えていないからジッパーに指を挟みそうだ。  ここまでしたけど、聖さんは自分でスラックスを下ろそうとしない。てことは俺が下着をずらして、出してあげないといけないのかな。  腰部分のゴムに手をかけた。少しずらすと、すでに勃ち上がっている先端に指が触れた。何度か直に触ったことはあるけど、こんなふうに触るなんて、こっそりイケナイことをしているようで――部室でこんなことをしているなんて、そもそもイケナイことだけど。 「うっ…」  手のひらと指を使って撫でてあげると、聖さんが切ない声を漏らす。こんな声、俺だけしか聞いたことがないんだ。手のひらに濡れた感触があった。聖さんが先端を濡らしている。俺も同じだ。先端から垂れた糸が、太ももの辺りを濡らしている。  俺の中から、指が抜かれた。その後に穴の周囲に濡れた先端があてがわれた。すぐに聖さんが腰を動かす。けど、中に入ろうとはせず、直前で腰を引き、また押し当てる。それの繰り返しだ。まるで煽られているみたい。 「は…あ…、聖さん…、もう…」  我慢できない、早く来て。その言葉が恥ずかしくて、なかなか言えない。だって、鏡越しに聖さんが俺を見ている。聖さんが欲しくて、エロい顔をしている俺を。 「もう…? 何ですか?」  聖さんの熱い吐息が、耳にかかった。背中がゾクゾクして、もう我慢できなくて、俺は聖さんにねだった。 「早く…来て…くださ…、俺のな…か」

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