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第3話

「我が国の王族の手付きになった者はどうなるか知っているか?」  自らの衣服を脱ぎながら王子は独りごつ。シアンは上体を起こしながら黙って首を横に振った。そんなことよりも今すぐここから逃げなければ、それこそ王子の手付きになってしまう。 「一度、手が付いた者は一生王宮で贅沢に暮らせる。奴隷だったおまえがなんの不自由もなく暮らせるのだからいい話だろう」  逃げようとしたシアンの身体をベッドに押し倒し、上に覆い被さるとシアンの着ていた服を強引に脱がした。 「やめろっ……」  王子がシアンに跨がるといよいよ身体の自由は奪われる。シアンは抵抗できない力の強さに恐怖を覚えた。 「なんでっ……」  なんで自分なのだと言いたかった声は王子の唇で塞がれた。そして蹂躙するように舌を差し入れ唾液をすすり、シアンの舌を絡みとった。  嫌だと思うのに、王子の舌がシアンの上顎をなぞると頭の中が痺れた。ただの唾液のはずなのに甘いとまで感じ、艶めかしい吐息が漏れた。  自分から漏れた声に驚き、蕩けはじめていた意識が戻る。 「やっ……」  身体を捩ると、動けないように両手首を王子の手で拘束され首筋を舐められた。 「おまえは俺の妻としてここで暮らす」  舌がシアンの肌を這い、王子の手が腰をなぞった。  ビクンと身体を揺らし「あっ」と小さく声を出すと王子は目を細めて子供がいたずらするかのように笑った。  腰をなぞる手が足の付け根へと下りていく。 「んっ……オレはっ、男……だっ……」  はしたなく感じてしまう身体と勝手に漏れる声に羞恥を覚える。  なんでこんなに敏感に感じてしまうのか。性的なことには疎いシアンだが、同性がその対象だとは思わない。それなのに王子の男らしく筋張った手の動き一つで、こんなにも翻弄されるなんて。 「そんなことは関係ない。オレに従え、いいな」  拒否権などそこにはなかった。  王子と奴隷では身分差がありすぎる。この国の次期国王候補の一人である王子の命令に背けるわけがない。大人しく従うのが奴隷としての在り方だが、簡単に身体を許したくはなかった。それはシアンのちっぽけなプライドだった。  奴隷のくせに、と誰かが聞けば笑われるかもしれない。それでも捨てたくないものが自分にあってある。 「あっ……やっ……」 「香がよく効いているみたいだな」 「香……?」  この部屋に入った時からずっと焚かれているあの甘い匂いのする香のことだろうか。王子の言い方だとそれになにか身体を敏感にする作用があるみたいだ。  だとしたらこれは自分の意思で感じているわけではない。香のせいだ。 (……それなら仕方ない……)  自分にそう言い訳をして吐息を漏らす。小さなプライドさえも消し去るような匂いに頭の中がぐちゃぐちゃになる。  胸の小さな粒を口に含まれ、じっとりと舐められる。くすぐったかった感触が少しずつ快感に変わっていく。その変化に怖さを覚えて思わず王子にしがみついた。  太股の内をなぞられると、足が痙攣した。開きたくないのに勝手に両足が開いていく。  その身体の中心を指先で弄られ、熱が集まっていく。簡単に芯を持つ己自身に羞恥と快楽で涙が溢れる。  その涙を舐める舌は温かく、チラリと見えた瞳に優しさをみた気がする。 「ふっ……うんっ……」  中心からも涙のようにぷっくりとした雫が零れ、王子の指の腹がそれを掬い芯を持ったシアンの中心に塗り伸ばしていく。 「ふっ……ああっ……」  シアンの涙を舐めたあと、再び胸の粒を口に含んで舌で転がされ、堪らず腰が浮いてしまう。  その舌がだんだんと下へと肌を滑り落ちて、シアンの中心へと近付く。 「んんっ」  シアンの熱の塊を何の躊躇もなく口に含ませそれを強く吸われて、何度も身体が痙攣した。  良すぎる快感に王子を引き剥がそうと金の髪を掴む。それでも口に含まれた熱は離されることなく吸い上げられ上下される。 「あっ、はっ……やだっ……」  意識が中心に持っていかれる。脳裏が真っ白になる。 「ああっ……」  ジュッと強く吸い上げられた瞬間、熱が王子の口の中に放たれた。王子はそれを嫌な顔一つせず味わうように口の中で転がしてゴクリと飲み干した。 「な……なにを……」 「甘いな。薬とは思えない」 「……なに?」  欲を出したあとの倦怠感が身体を支配して、王子がなにを言っているのか、襲ってくる睡魔と戦いながらなんとか問おうとする。  しかし王子はその問いには答えず、少しだけ垂れたシアンの欲を掬い、それをシアンの後孔へと塗りつけた。 「ひっ……」  あり得ない場所に触れられ、驚きで睡魔が逃げていく。  枕元の小さな棚に置かれていた小瓶を手に取り、瓶の蓋を開けると王子は手のひらに瓶の中身を出した。  それは蜂蜜のようにとろりとした液体で、なにに使うのかシアンにも嫌でもわかった。  液体を絡ませた王子の指がゆっくりと後孔を解そうとするのを気怠い身体で抵抗しようとしたが、敵うはずもなく、グッと指を入れられる。 「やだっ……やだっ……」  いつの間にか自由になっていた手で顔を隠し、何度も首を横に振った。それでも王子は指を中へと進ませ少しずつ動かして拡げていく。  圧迫感で感覚がおかしい。  一本、二本と指が追加され暴かれていく中が急激に熱くなっていく。これも香のせいだろうか。 「これにも香と同じ作用がある」  シアンの疑問を推察したのか王子が液体の正体を教えてくれる。 (それなら……仕方ない……)  同じ言い訳をして目を閉じる。もう抵抗する声はでない。  時間をかけてゆっくりと解されていく後ろが自分の身体の一部とは思えなくて戸惑いを隠せない。

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