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第2章  白き海賊船ルナティス  *15*

 《サナギ》は使われた相手を羽化させる。  淫らに男を欲するようになるまで、快楽を煽り身の裡を攻め苛み続ける。 「いや……っ、いやあぁぁ……ッ!」  身体の奥で荒れ狂う快感の渦。  拒もうと収縮する襞を、クネクネと蠢く《サナギ》が刺激する。  うねりを帯びた動きに脳が焼き切れるような快感を覚えうろたえる。  あまりの嫌悪感に涙が零れた。耐え切れずにカシスはしゃくりあげる。  こらえようがなかった。身体中が痺れて堪らない。  《サナギ》がもたらす刺激に身体だけでなく精神までもが犯される。  頭がどうにかなってしまう。  強烈な快感が全身を支配して、嗚咽とともに嬌声を洩らさずにはいられなかった。 「ヒ……ッ、…………んん……っ」  身体の奥を嬲る淫靡な蠢き。執拗なうねりが、過敏な裡襞を擦り続ける。 「ああぁぁぁ……ッ!」  無意識にカシスは腰を揺らしていた。  最奥に達した《サナギ》が動きを変える。先端が鉤状に曲がり、グニグニと奇妙な回転を始めた。 「―――ヒィッ!」  なんどもカシスの身体が痙攣を繰り返す。  強く締め付ける中を《サナギ》は容赦なく抉っていく。その激しさに込みあげる愉悦が、カシスをさらに苦しめた。 「あ…………っ…………、いやぁぁ―――ッ!」  すぐにも達してしまいそうな感覚がある。  後ろの刺激にカシスの前は張り詰め、先走りの雫を溢れさせていた。  触れてもらえないのが辛くて、カシスは押さえ込まれたままの不自由な腰を捩る。  見下ろすウルフの眸に写し出されるそれは、鮮やかな痴態だった。 「噂通りか。絶品だぜ」  呟くウルフの前で、カシスは身も世もなく泣きじゃくる。ひとかけらの理性すらも残されていないかのように、喘ぎをあげ身悶える。 「取…………て、……もう…………」  憎いはずの男にカシスは哀願した。  腕輪の力は強く手は戒められて、カシス自身の力ではどうにもならない。  1度は軽くなった腕輪だったが、カシスの抵抗を封じるためか頭上に一纏めにされベッドに縫い止められて、今はほんの僅かも動かすことができなかった。 「ヤダ……! ……取って……ッ、…………願……い……」  涙に濡れた顔を打ち振るう。  身体が焼けるように熱く、正気など保っていられない。  ウルフが覆いかぶさってくるのが分かった。触れた肌に震えが疾る。 「取ってやるよ」  囁きが耳に届く。  微かな吐息がかかるだけでも、カシスの全身は眸に見えてビクついた。 「お前が俺に従うと言うならな」  優しい声だ。  労わるように。宥めるように。  カシスの心を甘く誘い溶かそうとする。 「この俺に誓え。2度と逆らわないと。そうすれば……」 ―――取ってやる。  だがそれは、あまりに理不尽な言い分だった。  カシスの眸に理性の光が戻る。  従順と服従を……。それらを受け入れられるほど、帝国の王子としての誇りは安いものではない。 「い……やだ……ッ」  拭えぬ涙を流し続けたまま、カシスはきつくウルフを見据えた。  カシスの気丈な態度にウルフは眸を瞠る。次の瞬間、彼はククッと咽喉を鳴らした。 「どこまでも強情だな。さすがは帝国の王子だぜ」  カシスを卑下する響きはどこにもない。  純粋な賞賛と、明らかな好奇心。  どうすればこの少年を今以上に貶められるのか。  子供のように無邪気に、カシス自身も知り得ない裡までも暴こうとする。  ウルフの眸に獰猛な色が宿った。 「そうこなくちゃ、張り合いがない」  取り出した自身のモノを、ウルフはカシスの秘腔に擦りつける。  ギクッとカシスは背を強張らせた。驚愕に濡れた眸を大きく開く。 「や……め……、そ……なの……ッ」  今も《サナギ》が身体の奥を苛んでいるというのに。  これ以上されたら…………。  気が狂ってしまう…………。 「ヤダ……ッ、……しない……で…………っ」  嗚咽に掠れた声を、ウルフは聞き入れてくれなかった。 「もっと楽しませろよ。この身体で」 「ヒッ、…………やあぁ……ッ!」  ズルリと熱い切っ先が潜りこんでくる。  衝撃にカシスの腰が大きく跳ね上がった。上から押さえつけ、ウルフはさらに奥まで入り込む。 「あ……う……ッ…………ああぁぁぁ―――ッ!」  強く穿たれ、後ろだけでカシスは達していた。  けれど熱は冷めない。中のモノをひっきりなしに締めつけてしまう。  蠢く《サナギ》と、突き入ってくる昂ぶりと。 「ヒウ……ッ、……ん……ッ」  揺さぶられる快感に視界すら朦朧とする。  《サナギ》に嬲られ尽くした裡襞は、蕩けきってウルフの欲望に絡んだ。  彼もまた、《サナギ》の毒に息を詰める。 「すげ……、こっちまで持っていかれちまいそうだぜ」  《サナギ》のために半ばまでしか入り込めないまでも、堪らない悦楽がそこにはあった。  快感を追うことでいっぱいになる。  強い突き上げにカシスの背が反り返った。 「ク……ンッ、……やあぁぁぁ―――!」  繰り返される律動に悲鳴をあげ、カシスの意識は暗い闇に沈んでいった。

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