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第3章 闇よりも黒き淵 *7*
衣服をかき分け潜りこんだ指先が素肌を撫でる。
カシスはウルフの手を掴み動きを止めようとするが上手くいかない。
ウルフの手は易々とカシスの抵抗をかわし、淫靡な動きで肌を伝い降りるのだ。
「やだ……! こ…なところで……ッ」
カシスは泣き出しそうな声をあげた。
信じられない。
ここは通路で、クルーたちが通らないとも限らないのだ。
ウルフのように涼しい顔などしていられない。
「クッ……、や……ッ…………やめ……!」
逃れようとカシスは身を捩った。しかしそれすらも上手くはいかない。
後ろから抱き込むように回されたウルフの手が、不穏に蠢きながらもカシスの身体を巧みに押さえ込んでいた。
首の付け根にウルフの唇が触れる。濡れた感触が感じやすい肌を撫で、カシスは背を震わせた。
「あ……っ……やだッ」
ピクンピクンと身体が反応してしまう。
感じたくなどないのに、敏感な肌は淫らな愛撫に戦慄いた。
「…………んう……ッ」
ウルフの手が下へ下へと降りていき、カシスは知らず咽喉を鳴らす。
衣服は簡単に取り払われた。形を変え始めたカシスの半身が、外気に晒される。
「期待してんのかよ?」
「な……!? ……違……ッ!」
「あんまり騒ぐと見つかるぜ。誰にも見られたくないんだろ?」
勃ちあがりかけた半身を手の中に柔らかく握りこまれ、カシスは息を詰める。
あがりかけた声を必死に噛んだ。
ウルフが微かに笑う。
「大人しく、イイ子にしてな。誰にも見られたくないならな」
あやすように言いながら、ウルフの手は奔放に蠢いた。
「声は出すなよ」
甘さを帯びた囁きが鼓膜を擽る。
「ん……ふ……」
カシスは嫌々をするように首を打ち振った。
先端から根元まで幹を扱かれ、腰が勝手に跳ねてしまう。
耐えようとすればするほど、感じてしまって堪らなくなる。
下肢からせり上がってくる快感が、カシスの意識を煽り立てた。
通路の奥から誰かが出て来やしないかと気が気じゃないのだ。意識してしまって、それが余計に身の裡を昂ぶらせる。
快感と羞恥が意識までも嬲りつくそうとするかのようだった。
「…………ヤアッ」
カシスは身を捩る。
腕の中で不自由な身体をくねらせるカシスの姿は、ウルフの眸を楽しませた。
「もっとシテ欲しいんだろ?」
ウルフの手がカシスの後ろを探る。
「こっちにも」
悪戯な声だった。
窄まりをやわやわと擽り、指先が中へ入り込む。
「ヒ……ッ…………う……っ」
カシス自身の先走りに濡れた指が中を穿つ。衝撃にカシスは悲鳴を堪えるだけで精一杯だった。
立ったままの膝がガクガクと震える。
壁についた拳を強く握り締め、カシスは内襞を嬲られる感覚に堪えた。
ゆっくりと抜き挿しされ背が撓る。
立っていられなくなりそうなのに、声もろくに出すことができない。
快感ばかりが渦巻く身体を持て余し、苦しさにカシスは切れ切れの息を洩らした。
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