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第41話※
手の平で内腿をゆっくりと撫で上げ、身体の中心部へと迫る。そこはもう反応しかけていて、次の刺激を待ちわびているように見えた。
「一度泡を流すぞ」
眼を瞑っていろ、と注意してから桶に汲んだ湯を頭から被せる。
「わっ――」
「ちゃんと残ってるな。俺の跡」
「っ!」
アカネの腹部や胸、首筋は昨日フィオが残した印で所々紅く色づいていた。
「綺麗になっただろう」
「そーだけど、なんか思ってたのと違う!」
「あっ」
逃げるように湯船へと飛び込んだアカネは、首まで湯に浸かってフィオラートから身を隠す。
「今更照れることはないだろ」
フィオラートも身体に湯をかけてから浴槽に入り、アカネの隣に寄った。
大抵は一人でこのだだっ広い風呂場を使っていたが、二人で入るとまた心地が変わってくる。
「て、照れてねーし。くすぐったくて我慢できなかっただけだし」
「我慢できないのはこっちの方じゃないのか?」
アカネの肩を浴槽の壁に押し付けてから、足の間に手を伸ばして指を絡ませる。
「ん…だめだって」
「ここまで来てしまったんだ、少しだけなら良いだろう」
「あ、ん……フィオ、そんな性格だったっけ……?」
「アカネ限定でな」
だんだんと形を変えていくそこをフィオラートの手が上下に動く。湯の中にいるせいで手元がよく見えなかったが、彼の反応だけで感じてくれているのが分かる。
「あ……ぁ、はっ」
眼の焦点が合わないアカネの顔を覗き込み、唇を近付けてみる。
互いの唇が合わさってから今更のように抵抗を始めるが、その舌先を強く吸うと甘く喉を鳴らして縋り付いてきた。
「ん、ふ…っ、……んんぅ」
もうすぐでイく――その頃合いを見て、アカネ自身から手を離し、同時に唇も解放する。
「やぁ…な、んで……イきたぃ、のに」
「ちょっとだけ、耐えてくれ」
アカネの色んな顔が見たい。前回はすぐに達してしまったけれど、ぎりぎりまで焦らしたらもっと可愛い顔が見られたりして。
フィオラートの足を跨ぐように座らせ、膝立ちになったアカネの窄まりに指を押し込む。
「あっ! いたっ……んぐ」
「悪い、慣らすものがなかったな」
湯船の中だから平気だと思ったのだが、アカネは痛みを堪えてフィオラートの肩に爪を立てた。止めるべきか迷っていると首を横に振って大丈夫だと告げられる。その言葉を信じて身体の中へと指を進めた。
「っう、あ……あっ、あ」
身体に力が入っているせいか上手く解せない。緊張を解 いてやろうとして、ゆっくりと抜いては挿し込んでいく。
「平気か?」
「ん…は、早く……」
フィオラートの腹に自身を擦りつけてくるのは、恐らく無意識のうちに腰が動いているからだ。焦らされた身体はどこまでもつのだろう。
二本目の指を入れて浅いところをかき回す。
「んひぃっ――あ、中に…湯が……ぁん」
ちょうど目の前にあった桃色の胸の先にそそられて、そこに吸い付いた。もっと。もっと、アカネが欲しくて。
「ああぁ、だめ…イく、イくからぁ――やぁああッ」
限界を訴えるそこを敢えてぎゅっと握り、解放を許さない。
「あ、あぁ……なんで…っ」
「まだだ。イくなら一緒に、な?」
「むり……あ、ぁあア…んぁ……はあ」
三本、這入 った。同時に体内のしこったところを小刻みに刺激する。
そうしているうち中は十分ほぐれてきて、もうフィオラートを受け入れられそうだ。
「アカネ入れるぞ」
「うん……んっ、ぁ、ぅああぁ」
少しずつ、アカネの中に這入っていった。一度先端のくびれまで入れて息をつき、またじりじりとその体を犯していく。
「ぁ、ふ……腹ん中、あつぃ……」
ひくひくと蠢く内壁に焦がされそうだ。アカネの腰をぐいと引き寄せ、中を味わい尽くす。
「すご…奥、きてる……っ」
「ああ。すごく、気持ちいいよ」
「は、やく…っ、……おかしくなりそ…」
「――ッ!」
全く、煽り方が上手すぎる。無自覚なのか? だとしたらなんて罪作りなんだ。
「あぁああッ、や――ぁん」
フィオラートの肩にしがみつき、嬌声を零すアカネは色っぽくて。惚れ直してしまいそうだ。
奥深くを突き上げ、収斂 を繰り返す最奥をこじ開ける。
浮力の力も相まって、アカネの身体を激しく揺さぶった。
「ふあ、あ…ぁんん……ぁあ」
「アカネ、好きだ」
「ん……」
「好き、好きだ。大好きだ」
「そんな……言うな、ぁ」
鼓膜を直接揺らすように、耳元で囁く。アカネが好きでたまらなくて、その気持ちを一滴も残さず全て伝えたい。
「愛してる」
「――あ…あっ、んぁああァあ!」
「ぅくッ」
達したのはほぼ同時だった。
湯の中に白濁を散らすアカネにキツく締め付けられ、フィオラートの熱も爆ぜる。
「ぁあ、はぁ…はあ」
「済まない……無理をさせすぎたか?」
ぐったりとフィオラートに身を預けるアカネの髪を掻き上げ、頬に柔らかく口付ける。
風呂の中でしてしまったので、その身体は全身桃色に染まっていた。
「ぅう…もう駄目……」
「良いよ。ゆっくり休んでくれ」
「……うん」
頭をそっと撫でてやると、すぐに寝息を立ててしまった。疲弊した身体を酷使させたフィオラートが悪いのは分かっている。
(調子に乗りすぎてしまったな)
もう一度アカネの身体を洗い、彼を横に抱いて浴室から出ると女中達が驚いた顔をしていた。
「殿下、どうされたのですか!?」
(さすがに何をしたかは言えないな……)
適当な言い訳を、思いつくままに述べてみる。
「ふ、風呂らしい風呂に入ったのが初めてだから、加減が分からずに逆上 せてしまったようだ」
やけに長風呂だった理由はこれで十分だろう。
フィオラートはアカネの替えの服を持ってくるように命じ、彼を自分の部屋まで運んでいった。
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