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第2話
「柳 遥人(やなぎ はると)くん」
「先生、僕の苗字は『梁川』です」
「ああ、すまない。そうだったな」
これでは遥人は、過去を思い出さないらしい。
「私の名前は、『結城 拓』だ」
「さっき、HRで教えてくれたじゃないですか」
「ああ、すまない。そうだったな」
これでも遥人は、過去を思い出さないらしい。
「よろしく。握手をしよう」
「いいですけど」
握られた手から伝わる、温かな体温。
それでも遥人は、過去を思い出さないらしい。
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