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第29話
この身体が、熱い。
外からも内からも、たっくんの熱でいっぱい。
そして心も、魂までも熱く熱く溶けてゆく。
激しい交歓を終えた後は、互いの身体を優しく撫でながら眠りに就いた。
その髪を梳きながら。
その頬を撫でながら。
ああ、いっその事このまま。
死んでもいい、と拓が思いかけたところで、声が聞こえた。
「……ん。……たっくん」
死んじゃだめだよ、と引き留めるかのように、遥人が名前を呼んできた。
うん、そうだよな。
半ば寝言にも似た遥人の呼びかけを心地よく聴きながら、拓は眠りに就いた。
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