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第36話

 翌日から、拓は必死で勉強した。  何としてでも、高校教師にならねばならないのだ。  お前の成績なら、もっと偏差値の高い学校を受験できるぞ?  そんな指導教官の勧めを退け、大学は地元を選んだ。  その方が、県立の高校教師に合格しやすい。  拓はストレートで進学し、ストレートで教員試験に合格した。  早く、遥人に会いたい。  黒スーツの男の説明通りなら、遥人はこの街のどこかに生まれ、『遥人』と名付けられ、すくすくと育っているはずだ。  探し出して、会いに行きたい思いをこらえ、拓は教師として歩み始めた。  そして運命の15年後、遥人は『梁川 遥人』として、拓の勤める高校に入学してきた。

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