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 放課後、廊下に出ていった零央は直ぐに周りを生徒に囲まれて、適当に対応しつつ生徒会の仕事をする為に生徒会室へと向かった。  その後ろ姿を見届けて僕は送られていた兄さんからのカフェの情報を携帯で再確認して、荷物をまとめ教室を出た。 「え。まだ雨じゃん……」  空はどんよりな雲が覆っており、大粒の雨が止むことを知らないみたいに地面に打ちつけられている。  グランドのあちらこちらに大きな水溜まりが見えて、そこに落ちる雨から現在進行で降っていると理解した。 (どうしよう、こんな雨の中付き合ってもらうの悪いな……)  靴箱置き場を通り抜けて外に出て向かったのは、渡り廊下の下。雨宿りするのに最適で、誰の邪魔にもならない位置に移動し僕は零央を待った。  ザーザーと降る雨を見ても、何の感情も沸き上がらない。僕の日常に変化をもたらすのはこの雨では無いと示している。 「葵斗!お待たせ」  思っていたより早く、待ち人がやって来た。 「早かったね。あの……ね。雨、こんなに降ってるからさ、今日は行くの辞めとこうかなって思ってたんだ」 「あ?そうなの?俺は行くにも行かないにも気にはしないけど、葵斗がそう言うなら辞めとく?」  決して無理強いはしない。それが零央の性格。  様々な生徒から慕われる意味が、彼とこうして親密に話すようになってよく分かる。 「うん。また晴れた日に行くよ」 「じゃあ、今日は真っ直ぐ帰るかー」  笑う零央がビニール傘を広げて校門に歩みを進める。その後ろを追いかけるように僕も傘を指し家の方向……。行こうとしていたカフェとは反対の方向へ歩き始めた。

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