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第11話 ミツバチとあわあわ☆バスタイム
『プライベート・ハニーを買ってきたから、今夜八時に部屋で』
朝、そんなメモ書きを蜜羽の部屋のドアに挟んでおいた。
プライベート・ハニーというのは昼間のエンタメニュースで話題になっていた、ハチミツの香りがする液体型バスバブルだ。保湿成分が含まれた泡とほのかな甘い香りは女性を中心に人気があるらしく、蜜羽も昼休みの食堂でテレビを見ながら「へー、使ってみたいなぁ」と言っていた。俺はそれを盗み聞きしていたのだ。
蜜羽の喜ぶ顔が目に浮かぶ。想像するだけで体が震える。
……今夜は最高の夜になりそうだ。
「先生? 失礼します……」
「おっ、来たな蜂川。夕飯はちゃんと食べたか?」
「はい! デザートのプリンは二個食べました」
制服から普段着に着替えた蜜羽は、いつもよりずっと幼く見える。平均より身長が低い訳でも特別小柄という訳でもないのだが、やはりその屈託のない笑顔や振る舞いが子供っぽいせいだろう。
「噂のハチミツのあわの素を買ったって聞いて、飛んできました!」
ミツバチがその言葉通りブンブンと飛んできた姿を思い浮かべ、俺は含み笑いをして彼の頭を撫でた。
「これがそうだよ。匂いを嗅いでごらん、すごくいい香りがする」
ボトルの蓋を開けて蜜羽の鼻先に近付けると、「うわぁ」と可愛らしい声をあげて蜜羽が笑った。
「すっごい甘い匂いだ! 飲めちゃいそうですね」
「普通のハニーソースより匂いが強いな。だが味は苦いと思うぞ」
「先生、お風呂! お風呂入ろう!」
無邪気に服を脱ぎながら浴室へ向かう蜜羽。俺はその後を慌てて追いかけ、「コラ、気が早いぞ!」と声をかけた。それは蜜羽への言葉というよりも、早くも盛り上がり始めた自分の股間にかけた言葉だった。
「はあぁぁ、いい匂い……癒される~」
もこもこの泡にハチミツの香り、熱い湯船と裸の蜜羽。贅沢なバスタイムに満足しながら、俺は蜜羽の体を後ろから抱きしめた。
「あったかいです。先生って、現代国語の先生なのに体鍛えてるんですね」
「健康のためにな。といっても、トレーニングをたまにするくらいだが」
筋肉は男らしくて好きです、と蜜羽が俺の体に寄りかかる。そう。だからこそ俺は鍛えているんだ。
「蜜羽の体も成長してるか?」
冗談ぽく言ってその胸を後ろから揉むと、蜜羽が笑いながら「常にぺたんこです!」と返してきた。
つるりとした平らな胸。確かに揉みごたえはないが、そこには俺達を満足させるのに充分な愛らしいそれが付いている。
「ん、……先生。乳首だめ……」
「泡で滑るからか、いつもより感じやすくなってるな。両方ともピンピンに勃ってるじゃないか」
「や、ぁ……その触り方、弱い、んです……」
「どの触り方だ? 言ってくれないと分からないな……」
蜜羽はとにかく乳首が弱い。しかし弱点ではあるが、強く愛撫すればいいという訳でもない。
蜜羽は二つの突起を同時に優しく、ねちっこく攻められるのが好きなのだ。つねったり引っ張ったり噛んだりしても痛がるだけで、それをすると生徒達が作ったルール「ミツバチの嫌がることをしてはならない」を破ることとなる。
優しく丁寧に、ねちっこく、そしていやらしく。蜜羽はそんな愛撫が好きなのだった。
「言ってみろ蜜羽。どんな風に触られてる?」
「せ、先生の男らしい指が、……俺の乳首、優しく摘んで……エッチな動きで、触ってます……」
「……国語の先生としては、それでは点数をあげられないなぁ」
蜜羽が恥ずかしそうに俺を振り返った。その目は潤んでいて、必死にで俺に訴えている。
「お、俺の、おっぱい……ぷにぷにって、してます……」
「よし、九十点だ」
「えぇっ、百点じゃないんですか?」
その情けない顔と声に思わず笑ってしまったが、九十点はかなりの高得点だ。俺は蜜羽の乳首を弄りながらその赤くなった耳に口付け、耳から首筋、肩へと唇を移動させて行った。
「ふ、……ぁ、先生……すごく気持ちいいです」
湯船から出ている蜜羽の肩や首にお湯をかけてやり、マッサージをするように脚の付け根から内股を撫で回す。まだ男の証であるそこには触れない。せっかくの機会なのだから、じっくりゆっくり楽しみたいじゃないか。
「先生、その……ちょっと熱くなってきました」
「のぼせたら大変だな、少しお湯から上がろうか」
「は、はい」
頬を赤くさせた蜜羽の手を取り、浴槽の中で立ち上がる。俺も蜜羽も笑ってしまうほど股間のそれを硬くさせていた。
白い肌を滑る、白い泡。蜜羽から放たれる甘い香りは本人のものなのか、それとも「プライベート・ハニー」のものなのか。
「この泡には保湿成分が含まれているそうだ。肌を普段から潤わせておけば、真冬でも乾燥しなくなるぞ」
「ん、……先生、そんなこと言っても……エッチな触り方するだけじゃ、ないですか……」
両手に取ったふわふわの泡を蜜羽の体に滑らせ、手のひらで塗り込むように撫でて行く。元々きめ細やかな肌が泡のお陰で更に滑りが良くなり、こうして触っているだけで俺の方が癒されているようだ。
「あ、あぁ……」
後ろから蜜羽の胸を撫で、小さな乳首を摘まんで弾き、脇腹から細い腰をマッサージして、そのまま内股へと両手を滑らせる。
「気持ちいいね、蜜羽。オイルが入っているからか、少しぬるぬるしてる」
「あ、あ……もっと、ぬるぬるして……先生」
「してるよ」
「や、……気持ちいいとこ、してくださ、……ぃ」
蜜羽の触れて欲しい部分は言われなくても分かっている。今も上を向いて震えている可愛いペニスのことだ。勿論そこも念入りにぬるぬるしてあげたいが、せっかくのシチュエーションなのだから二人で一緒に楽しみたい。
「蜜羽。背中を流してくれるか。その泡を使って、な」
「あ、……」
浴槽から出て風呂用のイスに腰を下ろすと、耐えきれなくなった蜜羽が「先生!」と背中に抱き付いてきた。
「ふふ。先生の体、全部洗ってあげます」
「……スイッチ入ったな、お前」
湯船からすくった泡を自分の体に塗りつけて、蜜羽が俺の背中に覆い被さるように密着する。
「先生、気持ちいい?」
「ああ、最高だ」
「ん、……俺も……あ、あぁ、……」
腰を動かし、勃たせた小ぶりのペニスを懸命に俺の背中に擦り付けている蜜羽。正面の鏡を通してその姿はばっちり見えている。
「ふあ、あ……ぬるぬる気持ちいい……!」
背中に感じる硬い感触がたまらない。
「蜜羽の体はどこも柔らかいのに、そこだけはしっかり硬くなるんだな」
「お、俺だって……男だし……」
「それなら、お前の男をもっと感じさせてくれ」
「あ、……あ、ごめん先生、俺の方が、気持ち良くなってるかも……」
安心しろ蜜羽。
俺は今、世界で一番幸せな男子校の国語の先生だ……!
「んや、ぁ……あぁ」
背中に、肩に、首に、蜜羽のペニスが擦り付けられる。腕を出せば股に腕を挟んで洗ってくれている。
俺は夢心地でその硬い感触を楽しんでいた。時折柔らかいのが触れるのはペニスとセットで可愛い蜜羽の睾丸だ。ぬるぬると滑る蜜羽の硬いのと柔らかいのとで、もう今にもイきそうになる。
「お、終わりです。先生……シャワーで流しますか?」
「その前に、蜜羽にもお返ししないとな」
「やった、へへ……」
壁に手を付いた蜜羽を再び後ろから抱きしめ、屹立した自身のそれを蜜羽の股の間に差し込む。
「あ、……これ、って、素股……」
「たまにはこういうのもいいだろう?」
はにかんだ蜜羽の体を支え、俺は一度引いた腰を思い切りそこへ打ち付けた。
「あぁっ――!」
蜜羽の太股に挟まれた俺の性器が、彼の柔らかい玉とペニスの裏側を擦りながら何度も何度も前後する。アナルセックスとは締め付け具合が全く違うが、この行為にはアナルとはまた違った刺激がある。
「蜜羽っ……」
俺は前に伸ばした手で蜜羽のペニスを握り、腰の動きと一緒にそれを扱いた。
「あっあ、せんせ、ぇ……! 擦れて気持ちいい、っ……玉も、ちんちんも……!」
「ああ、俺も気持ちいいよ。蜜羽の色んなやらしいところに擦れてる……!」
「んん、やっ……! ぬるぬる、すごい……!」
腰を打ち付ける度、普通のセックスの時と同じ音が浴室中に響く。
「先生、イくっ……! もう、俺、だめ……!」
「一緒にイこう、蜜羽……」
「先生っ……!」
体内の熱が一点に集中し、せり上がって来る快楽と共に放出される。
「あ……」
俺と蜜羽の精液が壁に飛び、俺は彼の体をこちらへ向けさせた。
「汗いっぱいかいた……」
力無く笑う蜜羽に俺も微笑んで、シャワーのレバーをひねる。頭上から降り注ぐシャワーを浴びながら、俺達は濃厚に口付け合った。
プライベート・ハニー。俺にとってそれは多分バスバブルのことではなく、蜜羽と過ごすこんな時間のことを言うのだろう。
「先生、ありがとう……あわのお風呂すっごく気持ち良かった」
「まだたっぷり残ってるから、いつでもまた来るといい」
数日後。
「蜂川。どうだ、今夜また風呂に入りに来るか?」
「あ、先生。実は俺もあのバスバブル買ったんです! すごく肌がしっとりしてて良い感じですよ! ありがとうございまいました!」
「う、うーん。そうか……」
第十一話・終
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