2 / 30

第2話

 自業自得。  また、佐野が泉(いずみ)を怒らせるような事をやったのだ。  その度に、部屋の窓を吹き飛ばして佐野が宙に飛ぶ。  激怒した泉の、膝蹴りやら、飛び蹴りやらを受けては、派手に吹っ飛ぶ。  そして、その晩寝る場所を失った哀れな男は、親友の黒崎を頼ってやって来る。  恒例行事になった痴話喧嘩、そろそろ何とかしなくては、と黒崎は考えていた。  佐野に押しかけられる事が、迷惑なわけじゃない。  嫌なら、いつでも断れるのだ。  それでも黒崎がそうしないのは、佐野の為だけではなかった。    湯から上がってきた佐野は、ラックのワインを物色している。  黒崎は、そんな佐野を止めた。 「今夜は茶を飲め。酒を入れずに、話したい事がある」 「それはそれは」  話の内容にピンときたので、佐野は眉を寄せつつ椅子に掛けた。  温かい湯気と芳しい香りの、ほうじ茶。

ともだちにシェアしよう!