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第2話
自業自得。
また、佐野が泉(いずみ)を怒らせるような事をやったのだ。
その度に、部屋の窓を吹き飛ばして佐野が宙に飛ぶ。
激怒した泉の、膝蹴りやら、飛び蹴りやらを受けては、派手に吹っ飛ぶ。
そして、その晩寝る場所を失った哀れな男は、親友の黒崎を頼ってやって来る。
恒例行事になった痴話喧嘩、そろそろ何とかしなくては、と黒崎は考えていた。
佐野に押しかけられる事が、迷惑なわけじゃない。
嫌なら、いつでも断れるのだ。
それでも黒崎がそうしないのは、佐野の為だけではなかった。
湯から上がってきた佐野は、ラックのワインを物色している。
黒崎は、そんな佐野を止めた。
「今夜は茶を飲め。酒を入れずに、話したい事がある」
「それはそれは」
話の内容にピンときたので、佐野は眉を寄せつつ椅子に掛けた。
温かい湯気と芳しい香りの、ほうじ茶。
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