27 / 30
第27話
見られてる。
こんな姿を、あのいつも冷静な黒崎さんの眼が、見ている。
功が腰をやるたびに響く、この音も聞かれてる。
「素直になれ、泉」
素直に。
「……ぃぃ」
「ん?」
「あぁ、あ。気持ち、いぃッ! 功ぉ!」
のびやかな声があがった。
泉の可愛い啼き声が、佐野の耳にも心地よく入ってくる。
「久し振り聞いたな、こういうイイ声♪」
「ッふ、あ、あぁ、あ。あッ、あッ、あぁああ!」
悦楽にどんどん没頭してゆく二人を、黒崎は黙って見ていた。
これでいい。
二人、こうして身も心も一つになれる時間があればいい。
たとえ二つに分かれても、またこうやって一つになれればそれでいいのだ。
少しでもその仲立ちができた事を、黒崎はただ噛みしめた。
ともだちにシェアしよう!