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第27話

   見られてる。  こんな姿を、あのいつも冷静な黒崎さんの眼が、見ている。  功が腰をやるたびに響く、この音も聞かれてる。 「素直になれ、泉」  素直に。 「……ぃぃ」 「ん?」 「あぁ、あ。気持ち、いぃッ! 功ぉ!」  のびやかな声があがった。  泉の可愛い啼き声が、佐野の耳にも心地よく入ってくる。 「久し振り聞いたな、こういうイイ声♪」 「ッふ、あ、あぁ、あ。あッ、あッ、あぁああ!」  悦楽にどんどん没頭してゆく二人を、黒崎は黙って見ていた。  これでいい。  二人、こうして身も心も一つになれる時間があればいい。  たとえ二つに分かれても、またこうやって一つになれればそれでいいのだ。  少しでもその仲立ちができた事を、黒崎はただ噛みしめた。

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